万葉集巻第二十4295-4297番歌(高円の尾花吹き越す)~アルケーを知りたい(1602)
▼今回の4295番の説明書きが漢詩の雰囲気を感じさせる、、、と思ったら、漢詩好きの池主の作品だった。どこが漢詩を感じさせるかというと、酒を持って高円の野に登る、の箇所。杜甫の登高を連想する。高校時代の漢詩にあった。続く中臣清麻呂の4296番と家持の4297番も同じ高円を詠みこんでいるけど、4295番と違ってとても和歌和歌しい(笑)。
天保勝宝五年の八月の十二日に、二三の大夫等、おのもおのも壺酒を提りて高円の野に登り、いささかに所心を述べて作る歌三首
高円の尾花吹き越す秋風に 紐解き開けな直ならずとも 万4295
右の一首は左京少進大伴宿禰池主。
*高円のススキを吹き抜ける秋風を感じながら、衣の紐をほどきましょう。人と直接会うわけではありませんけど。
天雲に雁ぞ鳴くなる高円の 萩の下葉はもみちあへむかも 万4296
右の一首は左中弁中臣清麻呂朝臣。
*上空で雁が鳴いています。高円の萩の下葉は紅葉しました。
をみなへし秋萩しのぎさを鹿の 露別け鳴かむ高円の野ぞ 万4297
右の一首は少納言大伴宿禰家持。
*女郎花や秋萩に降りた露をかき分けながら雄鹿が鳴く高円の野ですな。
【似顔絵サロン】大伴 池主 おおとも の いけぬし ? - 757 奈良時代の官人・歌人。
大中臣 清麻呂 おおなかとみ の きよまろ 702 - 788 奈良時代の公卿・歌人。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=20
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