万葉集巻第二十4323-4324番歌(時々の花は咲けども)~アルケーを知りたい(1609)
▼4323番は、花はたくさんあるけど「母」という名の花がない、と母親との別れの寂しさを詠う歌。4324番は、行く場所が陸続きではないから言葉も分かれ分かれになる、と両方とも親しい人とのコミュニケーションがなくなるのを嘆く歌。
時々の花は咲けども何すれぞ 母とふ花の咲き出来ずけむ 万4323
右の一首は、防人山名の郡の丈部真麻呂。
*時々に花は咲くのだけれども、どうしてか母という名の花は咲いてこない。
遠江(とへたほみ)志留波(しるは)の磯と爾閇(にへ)の浦と 合ひてしあらば言も通はむ 万4324
右の一首は同じき郡の丈部川相。
*遠江の白羽の磯と贄の浦が続きであれば、言葉を交わせたであろうに。
【似顔絵サロン】丈部 真麻呂 はせつかべ の ままろ ? - ? 奈良時代の防人。遠江国(静岡県)山名郡の出身。丈部は軍事的部民。755年、防人として筑紫に派遣。
丈部 川相 はせつかべ の かわあい ? - ? 奈良時代の防人。遠江国山名郡の出身。755年、防人として筑紫に派遣。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=20
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