万葉集巻第二十4328-4330番歌(大君の命畏み)~アルケーを知りたい(1611)

▼今回は相模国の男で防人に指名された人たち。大阪の難波に集まり、そこから船で九州の筑紫に移動したようだ。今回の三首とも背景の風景が海と船。いずれも家族との別れを惜しむ歌。

大君の命畏み磯に触り 海原渡る父母を置きて 万4328
 右の一首は助丁丈部造人麻呂
*大君のご命令なので磯を伝い海を渡ります。家に父母を遺して。

八十国は難波に集い船かざり 我がせむ日ろを見も人もがも 万4329
 右の一首は足下の郡の上丁丹比部国人
*諸国から人が難波に集まっている。船支度をする私を見てくれる人がいてくれたら良いのに。

難波津に装ひ装ひて今日の日や 出でて罷らむ見る母なしに 万4330
 右の一首は鎌倉の郡の上丁丸子連多麻呂
*難波津に船出の準備を整えて今日を迎えました。いざ出発ですが見送ってくれる母はいません。
二月の七日、相模の国の防人部領使守従五位下藤原朝臣宿奈麻呂
進る歌の数八首。ただし、拙劣の歌五首は取り載せず。

【似顔絵サロン】丈部 人麻呂 はせつかべ の ひとまろ ? - ? 奈良時代の防人。相模国の出身。助丁(防人の集団の長=国造丁を補佐する役割)。
















丹比部 国人 たじいべ の くにひと ? - ? 奈良時代の防人。相模国足下郡の出身。上丁。















丸子 多麻呂 まるこ の おおま ? - ? 奈良時代の防人。相模国鎌倉郡の出身。上丁。















藤原 宿奈麻呂 ふじわら の すくなまろ/良継 よしつぐ 716 - 777 奈良時代の公卿。藤原宇合の次男。相模守の時、防人部領使として防人歌を大伴家持に進上。
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=20

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