万葉集巻第二十4334-4337番歌(水鳥の立ちの急ぎに)~アルケーを知りたい(1613)

▼今回は4首。最初の3首は家持作。4334番はこれから筑紫に向けて出発する防人に向けたメッセージ、4335番は航海中の安全を祈る歌、4336番は船で移動する防人たちが家を恋しく思うだろうと心情を察する歌。四首目の4337番は、これから出発する新防人が、挨拶もそこそこに家をあわただしく出てしまった心残りを詠う歌。

海原を遠く渡りて年経とも 子らが結べる紐解くなゆめ 万4334
*海を渡って遠い場所で年を経ても、家族らとの絆は決して解けないのだ。

今替る新防人が船出する 海原の上に波なきさそね 万4335
*今、交替の防人が船出するところだ。海で波が立たないように祈る。

防人の堀江漕ぎ出る伊豆手船 楫取る間なく恋は繁けむ 万4336
 右は、九日に大伴宿禰家持作る。
*防人が乗った船が港を出るところだ。楫を取る間も家を恋しく思っているだろう。

水鳥の立ちの急ぎに父母に 物言ず来にて今ぞ悔しき 万4337
 右の一首は上丁有度部牛麻呂
*水鳥が飛び立つように急いで出て来て、父母に挨拶できなかったことが今悔やまれる。

【似顔絵サロン】有度部 牛麻呂 うとべ の うしまろ ? - ? 奈良時代の防人。駿河国の出身。755年、上丁の防人として筑紫に派遣。
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=20

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