万葉集巻第二十4344-4345番歌(忘らむて野行き山行き)~アルケーを知りたい(1617)

▼駿河の国から九州の筑紫に行く防人たちの歌。4344番は、親との別れの辛さを込み入った言い方で表している。4345番は妻と二人で眺めた富士山が恋しいと詠い、これも別れの寂しさをソフトに表している。恋しくあるかが訛って恋しくあるかと言って良い味出してる。

忘らむて野行き山行き我れ来れど 我が父母は忘れせのかも 万4344
 右の一首は商長首麻呂
*私は父母を忘れようと野を行き、山を行きました。けれども父母は私を忘れていないでしょう。

我妹子と二人我が見しうち寄する 駿河の嶺らは恋しくめあるか 万4345
 右の一首は春日部麻呂
*私の妻と二人で見た駿河の嶺が恋しいなあ。

【似顔絵サロン】商長 麻呂/首麻 あきおさ の まろ/おびとまろ ? - ? 奈良時代の防人。駿河国の出身。商長氏は商人の長の意、権衡(はかり)を司る氏族。755年、防人として筑紫に派遣。
















春日部 麻呂 かすがべ の まろ ? - ? 奈良時代の防人。駿河国の出身。755年、筑紫に派遣。
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=20

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