万葉集巻第二十4355-4356番歌(我が母の袖もち撫でて)~アルケーを知りたい(1623)

▼4355番は航海の途中で見える島々を詠いながらも、この旅は防人として筑紫に行くためだから、寄り道なんぞしている暇はないのだ、でも・・・という。気持ちの揺れが伝わる歌。4356番は母を思い出して詠う歌。二人とも防人の上丁(正規兵?)。

よそにのみ見てや渡らも難波潟 雲居に見ゆる島ならなくに 万4355
 右の一首は武射の郡の上丁丈部山代
*はるかに遠い島々というわけではないのだが、見るだけで進まねばならない難波潟だ。

我が母の袖もち撫でて我がからに 泣きし心を忘らえのかも 万4356
 右の一首は山辺の郡の上丁物部乎刀良
*私の母が袖で撫でながら私のために泣いてくれた心を忘れられない。

【似顔絵サロン】丈部 山代 はせつかべ の やましろ ? - ? 奈良時代の防人。上総国武射郡の出身。755年、防人の上丁として筑紫に派遣。
















物部 乎刀良 もののべ の おとら ? - ? 奈良時代の防人。上総国山辺郡の出身。755年、防人の上丁として筑紫に派遣。
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=20

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