万葉集巻第二十4363-4364番歌(防人に立たむ騒きに)~アルケーを知りたい(1627)
▼今回は茨城出身の防人が、難波津から船で筑紫に向けて出発する時の思いを歌にした二首。4363番は難波津の港に多くの船が並んでいる光景を見て、妻に「今から出発だ」と伝えたい気持ちを詠った。4364番は、時間を前に戻して、出発の準備の慌ただしい日々を振り返り、ああ、妻が俺の代わりにする仕事についてやり方を細かく伝えてなかったなあ、と悔いる気持ちを詠った。
難波津に御船下ろ据ゑ八十楫(やそか)貫き 今は漕ぎぬと妹に告げこそ 万4363
*難波津に船が並びたくさんの楫が突き出ています。今こそ出航と妻に告げて欲しい。
防人に立たむ騒(さわ)きに家の妹が 業(な)るべきことを言はず来ぬかも 万4364
右の二首は茨城の郡の若舎人部広足。
*防人になって家を出るときの慌ただしさにかまけて妻に家業の諸注意を伝えてないままだ。
【似顔絵サロン】若舎人部 広足 わかとねりべ の ひろたり ? - ? 奈良時代の防人。常陸国茨城郡の出身。755年、防人として筑紫に派遣。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=20
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