万葉集巻第二十4367-4368番歌(我が面の忘れもしだは)~アルケーを知りたい(1629)

▼4367番は、家にいる妻への筑波山を見て私を思い出してね、というメッセージ。防人の任期は3年くらい。その長い別れを思うと、自分を偲ぶのに筑波山を持ち出したのだろう。切ない。4368番は、戻ってくるぞという気持ちを表明する歌。ま楫しじ貫きのフレーズは4363番の八十楫(やそか)貫きと似ている。たくさんのオールが船から出ている様子のイメージ。

我が面(もて)の忘れもしだは筑波嶺を 振り放け見つつ妹は偲はね 万4367
 右の一首は茨城の郡の占部小竜
*私の顔を忘れそうになったら、妻には筑波山を見て思い出してほしい。 

久慈川は幸(さけ)くあり得て潮船に ま楫しじ貫き我は帰り来む 万4368
 右の一首は久慈の郡の丸子部佐壮
*久慈川は幸い多い。船に乗って私は戻って来るぞ。

【似顔絵サロン】占部 小龍 うらべ の をたつ ? - ? 奈良時代の防人。常陸国茨城郡の出身。755年、防人として筑紫に派遣。
















丸子部佐壮 まろこべのすけを ? - ? 奈良時代の防人。常陸国久慈郡の出身。755年、防人として筑紫に派遣。
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=20

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