万葉集巻第二十4373-4374番歌(今日よりはかへり見なくて)~アルケーを知りたい(1632)

▼4373番は、これからの意気込みを詠った作品。そのために「今日からは(故郷の人びと、風景の、思い出を)顧みない」と決意を述べる。4374番は、神に無事を祈ってから目的地の筑紫へと矢のように進むのだ、と意気込みを詠う。そして両者とも大君の楯となって前線に立つ。国の守り手の心が伝わる。

今日よりはかへり見なくて大君の 醜の御楯と出で立つ我れは 万4373
 右の一首は火長今奉部与曾布
*今日からは後ろは振り返らず、大君の楯となって前線に立つのだ、私は。

天地の神を祈りてさつ矢貫き 筑紫の島をさして行く我れは 万4374
 右の一首は火長大田部荒耳
*天と地の神に祈りを捧げて、私は矢が貫くように筑紫の島を目指して進むのだ。

【似顔絵サロン】今奉部 与曽布 いままつりべ の よそふ ? - ? 奈良時代の防人。下野国の出身。755年、防人の火長として筑紫に派遣。火長とは、律令軍団制では10人で1火という単位が編成され、その長。















大田部 荒耳 おほたべ の あらみみ ? - ? 奈良時代の防人。下野国の出身。755年、防人として筑紫に派遣。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=20

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