万葉集巻第二十4379-4380番歌(白波の寄そる浜辺に)~アルケーを知りたい(1635)
▼今回の二首は、防人を運ぶ船が港から出ている時間を写し取った歌だ。4379番は、もうすることがないから陸に向かって手を振る、と詠う。4380番は、港を出て海から見える遠景を詠った。防人という意義は分かるが実りの見えないお役目に向かう男の心境が伝わる。
白波の寄そる浜辺に別れなば いともすべなみ八度(やたび)袖振る 万4379
右の一首は足利の郡の上丁大舎人部禰麻呂。
*白波が寄せる浜辺から離れると、することないので何度も何度も別れの手を振るばかり。
難波津を漕ぎ出て見れば神さぶる 生駒高嶺に雲ぞたなびく 万4380
右の一首は梁田の郡の上丁大田部三成。
*難波津を出航すると見えるのは、雲がたなびく神さびた生駒山の嶺だ。
大田部 三成 おおたべ の みなり ? - ? 奈良時代の防人。下野国梁田郡の出身。755年、防人の上丁として筑紫に派遣。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=20
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