万葉集巻第二十4390-4391番歌(国々の社の神に)~アルケーを知りたい(1641)
▼ 今回も下総国出身の防人の歌二首。4390番はしっかり者の妻が家にいてくれるありがたさで防人に行く不安感を打ち消す歌。4391番も妻を詠った作品。上の句で国々の神社で祈りを挙げてくれた妻といって自分のために祈りを捧げてくれた連れ合いを愛しく思う気持ちが伝わる。
群玉(むらたま)の枢(くる)にくぎさし堅(かため)めとし 妹が心は動(あよ)くなめかも 万4390
右の一首は猨島の郡の刑部志加麻呂。
*ドアにしっかりカギをかけたような妻の心は私がいない間、動揺することはない。
国々の社(やしろ)の神に幣奉(ぬさまつ)り 贖祈(あがこひ)すなむ妹が愛(かな)しさ 万4391
右の一首は結城の郡の忍海部五百麻呂。
*国々の神社で幣を捧げて無事を祈ってくれる妻が愛しい。
【似顔絵サロン】刑部 志加麻呂 おさかべ の しかまろ ? - ? 奈良時代の防人。下総国猿島郡の出身。755年、防人として筑紫に派遣。
忍海部 五百麻呂 おしぬみべ の いおまろ ? - ? 奈良時代の防人。下総国結城郡の出身。755年、防人として筑紫に派遣。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=20
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