万葉集巻第二十4419-4420番歌(家ろには葦火焚けども)~アルケーを知りたい(1656)
▼4419番は貧乏な暮らしを「葦火を焚く」と言っている。煙がたくさん出るし、火持ちも良くないからだろう。そんな家でも住めば天国なんだな。4420番は夫を送り出す妻が、服の紐が切れたら自分で繕うんだよ、と言い聞かせる歌。どちらもいじらしい良い歌だ。
家(いは)ろには葦火焚(あしふた)けども住みよけを 筑紫に至りて恋(こふ)しけ思(も)はも 万4419
右の一首は橘樹の郡の上丁物部真根。
*自宅では葦火を焚いて住み心地が良かったので、筑紫に来ると恋しく思い出すだろうな。
草枕旅の丸寝の紐絶えば 我が手と付けろこれの針持(はるも)し 万4420
右の一首は妻の椋椅部弟女。
*旅先ではごろ寝だから着物の紐が切れたら、私の手と思ってこの針で自分で付けなおしなさい。
【似顔絵サロン】物部 真根 もののべ の まね ? - ? 奈良時代の防人。武蔵国橘樹郡の出身。妻が椋椅部弟女。755年、防人の上丁として筑紫に派遣。
椋椅部弟女 くらはしべのおとめ ? - ? 奈良時代の女性。武蔵国橘樹郡に夫の物部真根と居住。755年、真根が防人の上丁として筑紫に派遣されたとき歌を詠んだ。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=20
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