万葉集巻第二十4433-4435番歌(朝な朝な上がるひばりに)~アルケーを知りたい(1664)

▼今回は、防人を難波に集めて筑紫に送り出す検校=監督官の歌。4433番で安倍沙美麻呂がヒバリは都の往復が簡単にできるからうらやましい、と言い、次の4434番で家持が、そうは言っても霞がかかるシーズンだからよく見えないでしょう、と返す。続く4435番も家持の歌で、難波には春から秋にかけていることになると予定を語る。外敵の襲来がない限りは平穏だ。

 三月の三日に、防人を検校する勅使と兵部の使人等と同に集ひ、飲宴して作る歌三首
朝な朝な上がるひばりになりてしか 都に行きて早帰り来む 万4433
 右の一首は勅使紫微大弼安倍沙美麻呂朝臣。
*毎朝、空に上っていくヒバリになれば、都に行ってもすぐ帰ってこれますのに。

ひばり上がる春へとさやになりぬれば 都も見えず霞たなびく 万4434
*ヒバリが空に舞い上がる春になったので、都はたなびく霞でよく見えますまい。

ふふめりし花の初めに来し我れや 散りなむ後に都へ行かむ 万4435
*花がつぼみであったころに私はここにやって来ました。その花が散った後に都へ行くのでしょう
 右の二首は兵部少輔大伴宿禰家持。

【似顔絵サロン】阿倍 沙弥麻呂 あべ の さみまろ ? - 758天平宝字2年5月31日 奈良時代の公卿。阿倍名足の子。子が安倍東人。
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=20

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