万葉集巻第二十4446-4448番歌(我がやどに咲けるなでしこ)~アルケーを知りたい(1671)
▼今回は、橘諸兄と丹比国人が会話を歌にしたような三首。4446番で丹比国人がナデシコに向かって語りかけ、4447番で橘諸兄が、それは私にも言ってることでしょ、と分かり切ってはいるけど言葉にする。さらに4448番で次々と花を咲かせるアジサイのように貴方も元気でいてもらいたいと言葉を重ねる。花を介した寿ぎのコミュニケーション。
同じき月の十一日に、左大臣橘卿、右大弁丹比国人真人が宅にして宴する歌三首
我がやどに咲けるなでしこ賄はせむ ゆめ花散るないやをちに咲け 万4446
右の一首は、丹比国人真人、左大臣を寿く歌。
*私の家に咲いているナデシコよ。贈り物をしますから、花を散らさず咲き続けてくださいな。
賄しつつ君が生ほせるなでしこが 花のみ問はむ君ならなくに 万4447
右の一首は、左大臣が和ふる歌。
*贈り物をして大事に育てているナデシコの花だけに問いかける貴方ではないでしょう。
あぢさゐ八重咲くごとく八つ代にをいませ 我が背子見つつ偲はむ 万4448
右の一首は、左大臣、味狭藍の花に寄せて詠む。
*アジサイが次々に咲くように末永くお元気でいていただきたい。アジサイを見るたびに偲びましょう。
【似顔絵サロン】丹比 国人 たぢひ の くにひと ? - ? 奈良時代の貴族。橘奈良麻呂の乱に連坐し遠江守から伊豆へ配流。明日香川行き廻る丘の秋萩は今日降る雨に散りか過ぎなむ 万1557
橘 諸兄 たちばな の もろえ 684 - 757 奈良時代の皇族・公卿。左大臣になったのは743年、59歳。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=20
コメント
コメントを投稿