万葉集巻第二十4449-4451番歌(なでしこが花取り持ちて)~アルケーを知りたい(1672)
▼4449番は左大臣(橘諸兄)が橘奈良麻呂の家で行った宴で、船王が詠った歌。続く4450番と4451番は奈良麻呂ではなく家持が後から作った歌。なぜ家持は自分が作った歌で補完したのだろう。後に奈良麻呂は乱を起こして捕まり、船王は拷問役になる。家持は何を考えてこの三首を残したのだろう、謎だ。
十八日に、左大臣、兵部卿橘奈良麻呂朝臣が宅にして宴する歌三首
なでしこが花取り持ちてうつらうつら 見まくの欲しき君にもあるかも 万4449
右の一首は治部卿船王。
*ナデシコの花を手に取ってしげしげと見るように、いつもお姿を拝見していたい貴方様であります。
我が背子がやどのなでしこ散らめやも いや初花に咲きは増すとも 万4450
*貴方様のお宅のナデシコが散ることがありましょうか。咲き始めた花のように増えることがあっても。
うるはしみ我が思ふ君はなでしこが 花にぞなそへて見れど飽かぬかも 万4451
*麗しいと私が思う貴方様は、ナデシコの花のように見ても見ても飽きません。
右の二首は、兵部少輔大伴宿禰家持追ひて作る。
【似顔絵サロン】船王 ふねおう/ふねのおおきみ ? - ? 奈良時代の皇族。舎人親王の子。757年、橘奈良麻呂の乱では、杖で謀反者の全身を打つ拷問を監督する。結果、道祖王・黄文王・大伴古麻呂そして奈良麻呂が死亡。眉のごと雲居に見ゆる阿波の山かけて漕ぐ船泊知らずも 万998
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=20
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