万葉集巻第二十4455-4456番歌(ますらをと思へるものを)~アルケーを知りたい(1675)

▼4455番は、芹を摘んで贈りものにするときに添えた歌。粋な振る舞いとはかくあるべし。4456番の返しを見ると、葛城王は純朴、薩妙観はその上手を行く感じがした。歌の贈答勝負としては引き分けか。家持はニヤリとしながらこの二首を選んだのでは・・・。

 天平元年の班田の時に、使の葛城王、山背の国より薩妙観命婦等の所に贈る歌一首 芹子の褁に副ふ
あかねさす昼は田賜びてぬばたまの 夜のいとまに摘める芹これ 万4455
*昼間は班田収授の作業に追われていましたので、夜のすきま時間に摘んだ芹です、これは。

 薩妙観命婦が報へ贈る歌一首
ますらをと思へるものを大刀佩きて 可爾波の田居に芹ぞ摘みける 万4456
 右の二首は、左大臣読みてしか云ふ。左大臣はこれ葛城王にして、後に橘の姓を賜はる
*益荒男と思っておりましたのに、刀を腰につけたまま可爾波の田んぼに入って芹を積んでくださったとは、まあ。

【似顔絵サロン】葛城王=橘 諸兄 たちばな の もろえ 684 - 757 奈良時代の皇族・公卿。吉備真備と玄昉が政治を補佐。















薛妙観命婦 せちみょうかんのみょうぶ / 薩妙観 せちめうくわん/さつみょうかん ? - ? 奈良時代の女性歌人。ほととぎすここに近くを来鳴きてよ過ぎなむ後に験あらめやも 万4438
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=20

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