万葉集巻第二十4465番歌(空言も祖の名絶つな)~アルケーを知りたい(1679)

▼今回は久しぶりの長歌。家持が一族に大伴の名を大事にせよと檄を飛ばす歌。

 族を喩す歌一首 幷せて短歌
ひさかたの 天の門開き
高千穂の 岳に天降りし
すろめきの 神の御代より
はじ弓を 手握り持たし
真鹿子矢を 手挟み添へて
大久米の ますらたけをを
先に立て 靫取り負はせ
山川を 岩根さくみて
踏み通り 国求ぎしつつ
ちはやぶる 神を言向け
まつろはぬ 人をも和し
掃き清め 仕へまつりて
蜻蛉島 大和の国の
橿原の 畝傍の宮に
宮柱 太知り立てて
天の下 知らしめしける
天皇の 天の日継と
継ぎてくる 君の御代御代
隠さはぬ 明き心を
皇へに 極め尽して
仕へくる 祖の官と
言立てて 授けたまへる
子孫の いや継ぎ継ぎに
見る人の 語りつぎてて
聞く人の 鏡にせむを
あたらしき 清きその名ぞ
おぼろかに 心思ひて
空言も 祖の名絶つな
大伴の 氏と名に負へる
ますらをの伴 万4465
*かりそめにほ大伴の名前を汚すようなことがあってはならない。大伴の名を背負うわがますらをよ。

【似顔絵サロン】族を喩す大伴家持
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=20

コメント

このブログの人気の投稿

万葉集巻第十八4070-4072番歌(一本のなでしこ植ゑし)~アルケーを知りたい(1535)

万葉集巻第十2219-2222番歌(夕さらずかはづ鳴くなる)~アルケーを知りたい(1477)

万葉集巻第十九4211-4213番歌(娘子らが後の標と)~アルケーを知りたい(1574)