万葉集巻第二十4466-4467番歌(剣太刀いよよ磨くべし)~アルケーを知りたい(1680)
▼今回は、前回の4465番の長歌に続く短歌二首。気になるのは4467番の後書き。今回の三首は、淡海三船の讒言(人を陥れるため目上の人に嘘を言うこと)で大伴古慈斐が役職を解かれた、とある。理不尽な目に遭っても大伴一族の誇りを失わず、剣を研ぎ澄ませ、という家持の言葉。
磯城島の大和の国に明らけき 名に負ふ伴の男心つとめよ 万4466
*磯城島の大和の国で明らかな家名を背負う大伴の皆よ、気合を入れて務めに励むように。
剣太刀いよよ磨くべしいにしへゆ さやけく負ひて来にしその名ぞ 万4467
*剣を研ぎすますべし。昔から背負ってきた大伴の家名であるぞ。
 右は、淡海真人三船が讒言によりて、出雲守大伴古慈斐宿禰、任を解かゆ。
ここをもちて、家持この歌を作る。
【似顔絵サロン】淡海 三船 おうみ の みふね 722 - 785 奈良時代後期の皇族・貴族・文人。弘文天皇の曽孫。756年、朝廷を誹謗したとして、大伴古慈斐と共に衛士府に禁固され、3日後に放免。
大伴 古慈斐 おおとも の こしび 695 - 777 奈良時代の公卿。大伴祖父麻呂の子。756年、藤原仲麻呂により、朝廷を誹謗し臣下の礼を失したとの理由で淡海三船と共に衛士府に拘禁され、3日後に赦免。757年、橘奈良麻呂の乱に連座して土佐国へ流罪。770年、復帰。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=20
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