万葉集巻第二十4506-4508番歌(高円の野の上の宮は)~アルケーを知りたい(1701)

▼今回は家持が仲間の今城らと興に乗って作ったという五首のうち三首。詠っているのは聖武天皇のこと。聖武天皇の崩御は756年6月。54歳で没。これらの歌は没後2年経ってからというから、ということは、家持40歳、今城?、清麻呂46歳。この年、天皇は7月終わりまで孝謙天皇、8月から淳仁天皇。

 興に依りて、おのもおのも高円の離宮処を思ひて作る歌五首(うち最初の三首
高円の野の上の宮は荒れにけり 立たしし君の御代還そけば 万4506
 右の一首は右中弁大伴宿禰家持。
*高円の野の宮は荒れてしまいました。お立ちなっていた君の時代から時間が経過しましたから。

高円の峰の上の宮は荒れぬとも 立たしし君の御名忘れめや 万4507
 右の一首は治部少輔大原今城真人。
*高円の野の宮は荒れていますけれど、お立ちになっていた我らが君の御名を忘れることはありません。

高円の野辺延ふ葛の末つひに 千代に忘れむ我が大君かも 万4508
 右の一首は主人中臣清麻呂朝臣。
*高円の野辺に広がる葛の末のように、これから先も我らが大君のことを忘れることはありません。

【似顔絵サロン】聖武天皇 しょうむてんのう 701大宝元年9月18日 - 756天平勝宝8年6月4日 第45代天皇(在位:724年3月3日 - 749年8月19日)。父は文武天皇、母は藤原不比等の娘・宮子。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=20

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