万葉集巻第二十4511-4513番歌(池水に影さへ見えて)~アルケーを知りたい(1703)
▼今回は家持の仲間が山斎(しま)という家持邸の庭を眺めて作った歌三首。4511番で三形王が馬酔木の花に着目した歌を詠う。続く4512番では家持が池と水を加えて馬酔木続きの歌、そして4512番で伊香が、池と水に映える馬酔木の花が散るのが惜しい、と締める。
山斎を属目(しょくもく)して作る歌三首
鴛鳶(をし)の棲む君がこの山斎(しま) 今日見れば馬酔木の花も咲きにけるかも 万4511
右の一首は大監物三形王。
*鴛鳶が棲息するという貴方様のお館を今日拝見すると馬酔木の花が咲いています。
池水に影さへ見えて咲きにほふ 馬酔木の花を袖に扱入れな 万4512
右の一首は右中弁大伴宿禰家持。
*池の水に姿を映しながら咲き誇っている馬酔木の花を袖にこき入れましょう。
磯影の見ゆる池水照るまでに 咲ける馬酔木の散らまく惜しも 万4513
右の一首は大蔵大輔甘南備伊香真人。
*磯の影が見える池の水を輝かせるほど咲き誇っている馬酔木の花が散るのは惜しい。
【似顔絵サロン】三方王/御方王/三形王 みかたおう ? - ? 奈良時代の皇族。舎人親王の孫。大伴家持と親交。み雪降る冬は今日のみうぐひすの鳴かむ春へは明日にしあるらし 万4488
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=20
コメント
コメントを投稿