万葉集巻第1_45番歌(小竹を押しなべ草枕)~アルケーを知りたい(1752)
▼万葉集の歌は、誰が誰を詠っているのか分からなくなることが時々ある。今回の45番の前書きから、軽皇子がキャンプしたとき、人麻呂が作った歌、ということは分かる。でも長歌の冒頭の「わが大君」とは誰のことを言っているのだろう。軽皇子だろう。ということは「いにしへ思ひて」は軽皇子が、亡き父・草壁皇子を思って、ということになりそう。だから45番歌は、人麻呂が軽皇子の行動と思いを歌にした作品、ということか。▼フィールドでどんな野宿をしていたのか気になる。「小竹(しの)を押しなべ草枕」という句の小竹を平らかにするのはいかにもリアルで、草を枕にするのはいかにも喩え。リアルと喩えが入り混じっている。昔読んだヘミングウェイの小説に出て来る若者ニックがキャンプするときの描写を思い出す。ニックも小竹を押しなべてその上に毛布を敷いて寝る準備をしていた。
軽皇子、安騎の野に宿ります時に、柿本朝臣人麻呂が造る歌
やすみしし 我が大君
高照らす 日の御子
神ながら 神さびせすと
太敷かす 都を置きて
こもりくの 泊瀬の山は
真木立つ 荒山道を
岩が根 禁樹押しなべ
坂鳥の 朝越えまして
玉かぎる 夕さり来れば
み雪降る 安騎の大野に
旗すすき 小竹を押しなべ
草枕 旅宿りせす
いにしへ思ひて 万45
*雪が降る安騎の大野のススキや小竹を押し広げて一夜を過ごします。昔のことを思いながら。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1
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