アルケーを知りたい(97) カナル線 canal ray

▼カナル線。カナルとは「小さい孔」という意味。

▼ゴールドスタインさんの実験方法は、真空放電管の片方の端に陽極版を置き、レンコンのようにカナルをあけた陰極板を管の2/3くらいのところに置いて電圧をかける。すると陰極版でグロー光が出ているのを発見。これは陰極線と反対方向を流れるカナル線が引き起こしている現象と見立てた。

▼真空放電管は物理学者の創意工夫でいろんなバリエーションがある。管の真空度を変える。管の中に異なる気体を入れる。圧を変える。電圧を変える。陽極の背後にスペースを設ける(後ろのガラス壁に影が出る)、陰極と陽極の間に羽根車を置く、管に電場をかける、磁場をかける、管を曲げる、陰極の背後に空間を取る、極板に穴を空ける等など。発想法のヒントになる。



▲Eugen Goldsteinさん。ドイツの物理学者。放電管研究のパイオニアのひとり。陰極線、カナル線の命名者。ベルリン天文台とポツダム天文台で活動。

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