アルケーを知りたい(286) オットー・フリッシュ/Otto Robert Frisch

【今日から始める新シリーズの趣旨説明】

▼オットー・フリッシュさんの著作「何と少ししか覚えていないことだろう」(松田文夫訳、吉岡書店、2003)に出てくる人物のうちの77名は、2020年12月8日から2021年3月11日にかけてブログにした。メチャ面白かった。

▼その後、オリジナルの "What little I remember" (Cambridge University Press, 1979) を入手。松田さんの訳と照らして読むと、Frischさんが人を描くときの言葉と訳し方が味わい深い。著者の人柄が現れた文章と翻訳が良い具合に調和している。

▼この本が触れている話題は、

(A)物理学。Frischさんは、古典力学と量子力学が重なる時期の物理学者だ。しかも、話題が高校物理の「原子と原子核」と重なっている。原子の姿が解明される過程を追う楽しみがある。

(B)叔母で物理学者のリーゼ・マイトナーさん。Lise Meitnerさんの人間関係や同時代人を通してWWIとWWIIを知る興奮がある。

(C)マンハッタン計画。アメリカがWWIIとその後の覇権を握る計画。軍、大学、故国を追われた物理学者たちが結集したプロジェクト。アメリカの軍学産体制を知れて興味深い。

(D)コンピュータ。フリッシュさんは計算機に興味がある人なので、フォン・ノイマンさんと直接話をしている。コンピュータは、アルケーを知りたいという方向とは逆に位置するように思う。でも超優秀な人が能力を発揮しているので見逃せない。

▼というわけでこのシリーズでは、4つの話題をぶらぶら散歩します。




Otto Robert Frisch, 1904年10月1日 - 1979年9月22日










Lise Meitner, 1878年11月7日 - 1968年10月27日
大学入試の後なのでやつれた面持ち。

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