同僚や学生との間に距離を置かずコラボレーション:アルノルト・ゾンマーフェルトさんの教訓
アルケーを知りたい(311) アルノルト・ゾンマーフェルト / Arnold Johannes Sommerfeld_教訓:
今回の話題は(A)物理学。
▼ゾンマーフェルトさんの教訓:同僚や学生との間に距離を置かずコラボレーション
教訓の理由:仲間とコラボで専門分野を開拓し量子力学のグルになる。さらに弟子のうち4名がノーベル賞を受賞。アインシュタインさんとボルンさんから「才能ある若者を発掘して伸ばす能力」を称えられたから。
アルノルト・ヨハネス・ゾンマーフェルト Arnold Johannes Sommerfeld, 1868年12月5日 - 1951年4月26日
1868年、ケーニヒスベルク(現、ロシア西部のカリーニングラード)生まれ。
1891(23)アルベルティーナ大学で物理と数学を学ぶ。博士。指導教員はフェルディナント・フォン・リンデマン先生(Carl Louis Ferdinand von Lindemann, 1852年4月12日 – 1939年3月6日)
1892(24)ケーニヒスベルクの予備連隊に入り兵役につく(93年まで)。
1893(25)除隊後、毎年8週間の軍務につく(1901年まで)。口ひげ、威厳のある体躯、頬の傷などオスマン軍人らしい雰囲気を身に着ける。
1893(25)数学の中心地であるドイツのゲッチンゲン大学鉱物研究所のセオドア・リービッシュ先生(Theodor Liebisch, 1852年4月29日 – 1922年2月9日)の助手になる。Liebisch教授は以前ケーニヒスベルク大学の教授でゾンマーフェルトさんの顔見知り。
1894(26)同大学フェリックス・クライン先生(Christian Felix Klein, 1849年4月25日 – 1925年6月22日)の助手になる。
1895(27)ゲッチンゲン大学で教授資格取得。指導教員はクライン先生。数学教員としてのキャリアをスタート。
1896(28)クライン先生と論文の共同執筆を開始(1910年まで)。4部作として完成。最初の2冊は理論、後の2冊は地理学、天文学、工学を扱う。この仕事で関心が応用数学と教育の技術に向かう。
1900(32)RWTH アーヘン大学で臨時教授。流体力学を研究。トライボロジーの源となる「ゾンマーフェルト数」を提唱。後にハイゼンベルクさんの指導に活きる。
1906(38)ミュンヘン大学で教授(物理学)。
1908(40)弟子のピーター・デバイさん(Peter Debye, 1884年3月24日 - 1966年11月2日)が博士号取得。助手に採用。
1913(45)ニールス・ボーアさんがボーアの量子条件を提唱。
1914(46)WWI。量子力学の開祖の一人になる。
1916(48)ボーア・ゾンマーフェルトの量子条件を発表。
1918(50)WWI終戦。
1920(52)ヴェルナー・ハイゼンベルクさん(Werner Heisenberg, 1901年12月5日 - 1976年2月1日)が弟子入り。
1921(53)ヴォルフガング・パウリさん(Wolfgang Pauli, 1900年4月25日 - 1958年12月15日)が博士号取得。
1922(54)原子物理学に関心を持つハイゼンベルクさんをゲッチンゲンで開催されたニールス・ボーアの講演に参加させる。
1923(55)ハイゼンベルクさんが博士号取得。
1926(58)ハンス・ベーテさん(Hans Albrecht Bethe, 1906年7月2日 - 2005年3月6日)が弟子入り。
1928(60)ベーテさんが博士号取得。世界旅行に出て日本にも立ち寄る(29年まで)。
1931(63)マックスプランク・メダルを授与。
1932(64)ハイゼンベルクさんがノーベル物理学賞受賞(量子力学の創始ならびにオルト、パラ水素の発見)。
1936(68)ピーター・デバイさんがノーベル化学賞受賞(双極子モーメントおよびX線、電子線回折による分子構造の研究)。
1939(71)WWII。
1945(77)WWII終戦。パウリさんがノーベル物理学賞受賞(パウリの原理とも呼ばれる排他原理の発見)。
1951(83)交通事故のためミュンヘンで死去。
1967年、ハンス・ベーテさんがノーベル物理学賞受賞(原子核反応理論への貢献、特に星の内部におけるエネルギー生成に関する発見)。
〔参考〕https://en.wikipedia.org/wiki/Arnold_Sommerfeld
オットー・フリッシュ著、松田文夫訳(2003)『何と少ししか覚えていないことだろう』吉岡書店。p.21
Otto Robert Frisch (1979), What little I remember. Cambridge University Press. p.18
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