1839、ゴムの加硫法~グッドイヤー(米):アルケーを知りたい(643)

今回は化学。

ゴムの加硫法:ゴムに硫黄を混ぜて弾性を拡大する方法。
用途:タイヤほか。加硫の発見によってゴム工業は大規模な工場生産へと変化

▼経緯。
1493年、イタリアコロンブスがカリブ海の島で弾むゴムボールを見て驚きヨーロッパに持ち帰る。このときはそれだけで以降の発展なし。
1736年、フランスのコンダミーヌが南米の原住民がゴムの樹液で作った防水布やゴム靴を本国に紹介。ヨーロッパでゴムの実用化が開始。
イギリスのプリーストリーがゴムで鉛筆の字をこする rub と消えると報告し、消しゴムの発祥及び消しゴム rubber の名称の由来となる。
1839年、アメリカのグッドイヤーがゴムの加硫法を発見、工場生産の契機となる。
1888年、スコットランドのダンロップが自動車用タイヤの特許を取得。
1898年、アメリカのセイバーリングがグッドイヤーの名前を冠したゴム製造会社を創業。

グッドイヤーのここがすごい:実験で発生するガスを吸い込んで健康を害しても、極貧の生活にあっても、特許の紛争が起こっても、完成したと思ったゴム製品がべとべとして返品を食らったりしても、製品化するまで情熱を燃やし続けた気迫。グッドイヤーの名称でタイヤ会社を興したセイバーリングの思いも伝わってくるようだ。

グッドイヤー Charles Goodyear 1800年12月29日 - 1860年7月1日 
アメリカの発明家
【人物】父親は象牙のボタン製造業。
【教育】1816-21(16-21) フィラデルフィアで機械学を学ぶ。
【職業】1821(21) 父親のボタン製造業の手伝い。
1826-30(26-30) 農具製造の鍛冶屋。
【業績】1831(31) ゴム製造の研究を開始。実験で健康を害する。
1839(39) ゴムの加硫法を発見
1842(42) 義弟の資金でゴム工場を創業。
1844(44) 加硫ゴムの特許を取得。
1855(55) フランス皇帝ナポレオン3世がレジオンドヌール勲章を授与。

【ネットワーク】
コロンブス Christopher Columbus 1451年 - 1506年5月20日 イタリアの探検家、航海者、奴隷商人。アメリカ航路の発見者。(→498)

コンダミーヌ Charles Marie de La Condamine 1701年1月28日 - 1774年2月4日 フランスの地理学者、数学者。午線弧長の測量に参加し地球が扁球であると確認(→553) ▼ゴムを防水や履物に使う方法をヨーロッパに紹介。

プリーストリー Joseph Priestley 1733年3月23日 - 1804年2月6日 イギリスの自然哲学者。1774年、酸素を発見(→562) ▼ゴムで鉛筆の文字が消えると報告、消しゴムの父。

ダンロップ John Boyd Dunlop 1840年2月5日 - 1921年10月23日 スコットランドの発明家。▼1889(49) ダンロップ・ラバー株式会社を設立(→404)。

セイバーリング Frank Seiberling 1859年10月6日 - 1955 年8月11日 アメリカの起業家。 ▼1898(39) グッドイヤー・タイヤ&ゴム会社を設立。

【似顔絵サロン】


















〔参考〕
『理科年表2022』
https://en.wikipedia.org/wiki/Charles_Goodyear

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