1947、パイ中間子~パウエル(英):アルケーを知りたい(778)

今回は物理学。

パイ中間子:1935年に湯川秀樹が核子の中にあって陽子や中性子を結びつける力を仲介する中間子の存在を予言していた。12年後にパウエルの共同研究チームが発見。なぜパイというのか。湯川秀樹が、仲介の介の字とπ(パイ、pi)が似ているとしてπ中間子と命名。

▼パウエルのここが面白い:師匠が霧箱のウィルソン。現象を可視化・再現する師匠譲りの手法をパウエルは写真で応用した。また自然が大好きなウィルソンは山で仕事をしていた。弟子のパウエルも山に登り気球に乗って宇宙線を捕捉した。師匠の後を辿りながら独自の発見をした研究スタイルが面白い。

セシル・パウエル Cecil Frank Powell 1903年12月5日 - 1969年8月9日
 イギリスの物理学者
【人物】父親は鍛冶屋。
【教育/活動】
1929(26) ケンブリッジ大学キャベンディッシュ研究所で物理学博士。師匠はウィルソン
1928(25) ブリストル大学の物理研究所で研究助手。
 素粒子の飛跡を高感度写真で記録する方法を開発。
1938(35) 宇宙線の研究に高感度写真技術を応用。オキャリーニラッテスらと共同研究チームを作り、山頂や気球で宇宙線の秘跡を記録。
1947(44共同研究チームがパイ中間子を発見
1948(45) ブリストル大学でメルヴィル・ウィルズ物理学教授職。
1952(49) サルデーニャ島やイタリアのポー渓谷で高高度気球を使った宇宙線の写真記録を実施。
1950(47) ノーベル物理学賞受賞(写真による原子核崩壊過程の研究方法の開発および諸中間子の発見)
1961(58) 欧州原子核研究機構 CERN 科学政策委員会で委員。

【ネットワーク】
ウィルソン Charles Thomson Rees Wilson 1869年2月14日 - 1959年11月15日 スコットランドの気象学者・物理学者。1911(42) 霧箱の発明。1927(58) ノーベル物理学賞受賞(蒸気の凝縮により荷電粒子の飛跡を観察できるようにする方法(霧箱)の研究)。▼パウエルの師匠。

ジュセッペ・オキャリーニ Giuseppe Occhialini 1907年12月5日 - 1993年12月30日 イタリアの物理学者。▼1947(40) パウエルの共同研究チームでパイ中間子を発見。

セザーレ・ラッテス Cesare Mansueto Giulio Lattes 1924年7月11日 - 2005年3月8日 ブラジルの実験物理学者。▼1947(23)パウエルの共同研究チームでパイ中間子を発見。

【似顔絵サロン】










































〔参考〕
『理科年表2022』
https://en.wikipedia.org/wiki/C._F._Powell

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