万葉集巻第十1824‐1828番歌(冬こもり春さり来れば)~アルケーを知りたい(1430)
▼今回もウグイスとカッコウの鳴き声の歌。歌の文字を眺めていると自然の風景が広がって清々しい。鳥の鳴き声まで聞こえてくる。和歌の不思議。
冬こもり春さり来ればあしひきの 山にも野にもうぐひす鳴くも 万1824
*冬が去り春なりました。山でも野でもウグイスが鳴いています。
紫草の根延ふ横野の春野には 君を懸けつつうぐひす鳴くも 万1829
*紫庫が根を張っている横野は春になるとわが君を恋しがってウグイスが鳴いています。
春されば妻を求むとうぐひすの 木末を伝ひ鳴きつつもとな 万1830
*春になると妻を求めるウグイスが梢を伝いながら鳴き続けています。
春日なる羽がひの山ゆ佐保の内へ 鳴き行くなるは誰れ呼子鳥 万1831
*春日にある羽がい山経由で佐保の内の方へ鳴きながら飛んでいるのは誰を呼んでいるのか、呼子鳥。
答へぬにな呼び響めそ呼子鳥 佐保の山辺を上り下りに 万1832
*答えてくれないに呼ばないでおくれよ、呼子鳥。佐保山の高いところや低いところで。
【似顔絵サロン】740年、藤原広嗣の乱の関係者:藤原 田麻呂 ふじわら の たまろ 722 - 783 奈良時代の公卿。藤原宇合の五男。兄・広嗣の乱に連座して隠岐国に配流。二年後に赦免、帰京。以降、政治とは関わらず隠棲。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=10
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