万葉集巻第十七3947-3950番歌(天離る鄙に月経ぬ)~アルケーを知りたい(1499)
▼都から離れた任地先で寂しいものですな、お互いに会いたいですな、と言い合う家持と池主の歌。3947番の解説によると、雁は遠くにいる人同士を結び付ける兆しと見られていたとのこと。あとの三つ、別れの時に紐を結んで再会したら解くというまじないを歌ったもの。
今朝の朝明秋風寒し遠つ人 雁が来鳴かむ時近みかも 万3947
*今朝の朝の明け方に吹く秋風で寒いです。遠方に人と縁を結ぶという雁がやって来る日が近いのかも知れません。
天離る鄙に月経ぬしかれども 結ひてし紐を解きも開けなくに 万3948
右の二首は、守大伴宿禰家持作る。
*都から離れたこの田舎の地にやって来てだいぶ日が過ぎました。けれども、妻が祈願して結んでくれた紐を解いたことはありません。
天離る鄙にある我れをうたがたも 紐解き放けて思ほすらめや 万3949
右の一首は、掾大伴宿禰池主。
*都から離れたこの田舎に我らを結び付けた紐を解き放ったなどと思ってるのでしょうか。
家にして結ひてし紐を解き放けず 思ふ心を誰か知らむも 万3950
右の一首は、守大伴宿禰家持作る。
*家で妻が祈願して結んだこの紐を解くことなく思いを募らせている私の心境を分かってくれる人はいるのか。
【似顔絵サロン】藤原 仲麻呂 ふじわら の なかまろ 恵美押勝 706 - 764 奈良時代の公卿。藤原武智麻呂の次男。757年、橘奈良麻呂の乱を制圧し敵を一掃。764年、藤原仲麻呂の乱で敗北。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=17
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