万葉集巻第十八4073-4075番歌(月見れば同じ国なり)~アルケーを知りたい(1536)
▼池主が家持に、お目にかかりたいものです、という気持ちを伝える三首。箇条書きのようなスタイルにしているのがマネしたくなる。二番目は属物発思とあり、漢文のエキスパート池主らしさが伝わる。三番目の所心歌は、心で思う所を伝えるという意味だろう。歌は冗談ぽくて、家持はすぐ返信したくなるだろうな、と思わせる。
越前の国の掾大伴宿祢池主が来贈する歌三首
今月の十四日をもちて、深見の村に到来し、その北方を望拝す。
常に芳徳を念ふこと、いづれの日にか能く休まむ。
兼ねて隣近にあるをもちて、たちまち恋緒を増す。
しかのみにあらず、先の書に云はく、「暮春惜しむべし、膝を促くることいまだ期せず。
生別は悲しび、それまたいかにか言はむ」と。
紙に臨みて悽断し、状を奉ること不備。
三月の十五日、大伴宿禰池主
一 古人云はく
月見れば同じ国なり山こそば 君があたりを隔てたりけれ 万4073
*月を見れば貴方様と私は同じ国にいると実感します。山が隔てているだけです。
一 属物発思
桜花今ぞ盛りと人は言へど 我れは寂しも君としあらねば 万4074
*桜の花は今が盛りだと人は言いますが、貴方様とご一緒できないので寂しい限り。
一 所心歌
相思はずあるらむ君をあやしくも 嘆きわたるか人の問ふまで 万4075
*貴方様と私では思っている熱量が違うでしょう。私のほうでは人がどうしたのかと尋ねるくらい貴方様のことを思っております。
【似顔絵サロン】橘奈良麻呂の乱に関係した人々:山背王 やましろおう ? - 763 奈良時代の公卿。 長屋王の子。長屋王の変では母が藤原不比等の娘であったため罪を免れた。757年、孝謙天皇に「奈良麻呂が兵を挙げ仲麻呂の邸を包囲する」と知らせた。うちひさす都の人に告げまくは見し日のごとくありと告げこそ 万4473
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=18
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