万葉集巻第十八4076-4079番歌(あしひきの山はなくもが)~アルケーを知りたい(1537)
▼池主からの和歌に応える家持の返信。箇条書き的なスタイルを揃えている。違うのは、それぞれのタイトルは池持ちが漢文ふうだったのに対して家持は和文にしているところ。池持ちの三首に応えながら、一首追加しているのも良い。
越中の国の守大伴家持、報へ贈る歌四首
一 古人云はくに答ふる
あしひきの山はなくもが月見れば 同じき里を心隔てつ 万4076
*山などがなければ良いのに。月を見れば同じ里なのに、心を隔てる言い訳にされるから。
一 属目発思に答へ、兼ねて選任したる旧宅の西北の隅の桜樹を詠みて云ふ
我が背子が古き垣内の桜花 いまだふふめり一目見に来ね 万4077
*我が友が昔住んでいた家の庭の桜。まだつぼみですけど一目でも見においでなさい。
一 所心に答へ、すなはち古人の跡をもちて、今日の意に代ふる
恋ふといふはえも名付けたり 言ふすべのたづきもなきは我が身なりけり 万4078
*恋しいという表現はうまく名付けたものです。言いようもないのは私の心境です。
一 さらに属目
三島野に霞たなびきしかすがに 昨日も今日も雪は降りつつ 万4079
三月の十六日
*三島野に霞がたなびいて春だというのに、昨日も今日も雪が降っています。
【似顔絵サロン】橘奈良麻呂の乱に関係した人々:孝謙天皇 こうけんてんのう / 称徳天皇 しょうとくてんのう 718 - 770 第46代天皇。第48代天皇。史上6人目の女性天皇。道鏡を法王にした。反抗した者に卑しい名前をつけた。道祖王に麻度比(まどひ=惑い者)、黄文王に久奈多夫禮(くなたぶれ=愚か者)、賀茂角足に乃呂志(のろし=鈍い者)、和気清麻呂に別部穢麻呂(わけべのきたなまろ)。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=18
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