万葉集巻第十八4089-4092番歌(ほととぎすいとねたけくは)~アルケーを知りたい(1540)
▼和歌によく出て来るホトトギス。ホトトギスの鳴き声は何かの象徴か、何かを託しているのか、最近とんと聞いてないなあ、そもそも聞いたことがあったのか自分、と思ふ。それだけ鳥の鳴き声に無頓着だったと自覚する。
独り幄の裏に居り、遥かに霍公鳥の喧くを聞きて作る歌一首 幷せて短歌
高御座 天の日継と
すめろきの 神の命の
きこしをす 国のまほらに
山をしも さはに多みと
百鳥の 来居て鳴く声
春されば 聞きのかなしも
いづれをか 別れて偲はむ
卯の花の 咲く月立てば
めづらしく 鳴くほととぎす
あやめぐさ 玉貫くまでに
昼暮らし 夜わたし聞けど
聞くごとに 心つごきて
うち嘆き あはれの鳥と
言はぬ時なし
*四月から五月にかけて鳴くホトトギスの趣深いことといったらありません。
反歌
ゆくへなくありわたるともほととぎす 鳴きし渡らばかくや偲はむ 万4090
*考えがまとまらないときでも、ホトトギスが鳴き渡るのを聞くと、趣深いと思うことでしょう。
卯の花のともにし鳴けば橘の花散る時に いやめづらしも名告り鳴くなへ 万4091
*卯の花と共に鳴きはじめ、橘の花の散る時にも名乗って鳴くホトトギスよ。
ほととぎすいとねたけくは橘の 花散る時に来鳴き響むる 万4092
右の四首は、十日に大伴宿禰家持作る。
*ホトトギスが小憎らしいのは、橘の花が散る時に来て鳴き声を響かせるからです。
【似顔絵サロン】橘奈良麻呂の乱に関係した人々:藤原 永手 ふじわら の ながて 714 - 771 奈良時代の公卿。757年、乱の発覚後、小野東人、答本忠節らを拷問にかけ謀反を自白させた。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=18
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