万葉集巻第1_3番歌(今立たすらしみ執らしの)~アルケーを知りたい(1708)

▼今回の3番歌は舒明天皇が奈良五条市の宇智の野で猟をしたとき、娘の中皇命が間人連老に歌を詠んでもらい天皇に献上した作品。「朝狩に」「夕狩に」のリズムが心地よい。「音すなり」のフレーズが二度出て弓の弦の音が聞こえて来そうな臨場感がよい。

 天皇、宇智の野に遊猟したまふ時に、中皇命の間人連老をして献らしめたまふ歌
やすみしし 我が大君の
朝には 取り撫でたまひ
夕には い寄り立たしし
み執らしの 梓の弓の
中弭の 音すなり
朝狩に 今立たすらし
夕狩に 今立たすらし
み執らしの 梓の弓の
中弭の 音すなり 万3
*わが天皇が、朝に夕にお手にとっておられる梓弓、狩りにお出になる朝に夕に中弭(なかはず)の音が聞こえてきます。

【似顔絵サロン】


〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1

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