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アルケーを知りたい(57) アルキメデスの原理 Archimedes' principle

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▼アルキメデスの原理。金の王冠に銀の混じり物が入っているか、いないか問題。アルキメデスさんは、王冠を持って入った風呂で思いついた、というエピソードがある。 銀の密度は、10.49 g/cm³ 金の密度は、19.32 g/cm³ ▼金と銀の密度の差は8.83 g/cm³。同じ体積のものを持ったら重さの違いは歴然、というくらい差がある。でも、王冠を作ったのは職人。もしごまかしていたとすれば、すぐにはバレないようにしていたはず。 ▼このエピソードでよく見る挿絵では王冠を持ったアルキメデスさんが浴槽にいる。こんなんで本当に見抜けただろうか?  ▼もっと厳密に比較したはず、という話を表にまとめた。 ▲アルキメデスさん。古代ギリシアの数学者、天文学者。発明したものは、ポンプやスクリューの一種アルキメディアン・スクリュー(現代でも使用)、距離計、投石機など武器類など多様。有名なセリフ:アルキメデスの原理を見つけたとき「Eureka(ユーレカ)」と叫んだ。てこの説明で「私に支点を与えよ。そうすれば地球を動かしてみせよう」。

アルケーを知りたい(56) パスカルの原理 Pascal's principle

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▼パスカルの原理は、小さな力で大きな力を生むことができることから、油圧ジャッキや油圧ブレーキで使われている。 ▲ブレーズ・パスカルさん。フランスの哲学者、物理学者、数学者。

アルケーを知りたい(55) フェルマー点 Fermat–Torricelli point

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▼フェルマー点の話は中学でも、高校でも数学の教科書に出ていない。どんな話かというと、三角形のそれぞれの頂点からの距離が最短になる点はどこか、というクイズ。フェルマーさんがトリチェリさんに手紙で出した問題。 ▼最初、三角形の重心と同じじゃないの?と思った。けど、違う。トリチェリさんはちゃんと答えを出した。 ▲ピエール・ド・フェルマーさん。フランスの法律家。六か国語に堪能(フランス語、ラテン語、 オック語、古代ギリシャ語、イタリア語、スペイン語)。数学は趣味。フェルマーさんは1400年昔のディオファントスというエジプトの数学者の著作『算術Arithmetica』をラテン語版で読んで本の余白に48の命題を書き込んだ。フェルマーの最終定理はこのひとつ。

アルケーを知りたい(54) トリチェリの真空 Torricellian vacuum

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▼トリチェリの真空の実験を、今の理科室で経験するのかどうか分からない。というかしないだろう。なぜなら水銀をたっぷり使うから。私は理科室で見た気がする。でも、盆に入った水銀や井戸の水や大気圧が押す、という説明がピンと来なかった。 ▼今もピンと来ない。ということは大気圧も分かってない、ということだ。それが分かった(笑)。だるいから、大気圧を使わず重力だけで説明できないものか。 ▲水銀柱の実験で大気圧の存在を示したトリチェリさん。イタリアの物理学者。ガリレオさんの弟子。トリチェリの真空は中学理科の物理と地学の両方で紹介される。中学理科では76cmの高さの水銀の重さからhPaに換算する方法も学ぶ(後の回で気が向いたらやってみる)。

アルケーを知りたい(53) 自由落下 free fall

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▼中学理科室のデモで印象的だった実験がある。横に寝かせた2本のガラス管の片方には鳥の羽を、もう片方にはビー玉を入れる。同時にガラス管を立てると、羽はゆっくり落ち、ビー玉はあっという間に落ちる。これ当然。しかし、真空ポンプでガラス管の空気を抜いて同じことをすると、両方ともあっという間に落ちる。 ▼自由落下を見出したガリレオさんは、物体の重さやサイズと関係ない、斜面を転がる物体も、振り子も同じことだと見破った。モノが落ちる力は重力に由来する。重力による加速度は重力加速度といって記号はg、値は秒の二乗ごとに9.8mである。ガリレオさんすごい。ここまでは、ある範囲の中でばっちり成立する古典力学の話。 ▼量子物理になると重力が新しいものに見える。重力は「4つの力」の一つ。重力の源泉は質量。重力の到達距離は無限大、しかし、強さは(というか弱さは)メチャ微小。重量をもたらす重力子というゲージ粒子があるだろうと予想されている。けれどいまだ発見されていない。 ▲ガリレオ・ガリレイさん。イタリアの物理学者、天文学者。「振り子の等時性」「斜面上をころがる物体の運動」。地動説を理由にローマ教皇庁から『天文対話』は発禁、異端審問で軟禁される経験。「近代科学の父」「天文学の父」

アルケーを知りたい(52) ホイヘンスの原理 Huygens' principle

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▼ホイヘンスの原理は、池の静かな水面に石を投げ込んだ時に周りに広がっていく波紋の捉え方を説明するもの。言われてみればなるほどそうかと思わせる説明。しかし、受験生諸君は入試問題になって出てくるから私のように「なるほどそうか」で終わらせられない。頑張ってください。 ▲クリスティアーン・ホイヘンスさん。望遠鏡、振り子時計、機械式時計ほか、自作の機器で研究や発見を重ねたオランダの数学者、物理学者、天文学者。49才のとき波の伝わり方を説明するホイヘンスの原理を発見。61才のとき光の波動説を唱えた。

アルケーを知りたい(51) デカルト座標 Cartesian coordinate system

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▼万人がお世話になっているデカルト座標ないし直行座標。発明者はルネ・デカルトさん。 ▼直行するx軸とy軸のおかげで点の場所が決まる。象限が4つに分割する。これがすごく便利。 ▲ルネ・デカルトさん。 ▲マラン・メルセンヌさん。フランスの神学者、数学者、物理学者。デカルトさんのよき友。フェルマーさん、ガリレオさん、ホイヘンスさん、トリチェリさんら多くの知識人と交流があった。パリ科学アカデミーの源流。 ▲トマス・ホッブスさん。デカルトさんの仲間。50代のときに生み出した「万人の万人に対する闘争」で有名なイングランドの哲学者。『リヴァイアサン』発刊は63才のとき。