万葉集巻第6_997-999番歌(住吉の粉浜のしじみ)~アルケーを知りたい(1842)
▼今回は六首ワンセットから前半の三首。天皇が難波宮に出かけたときの歌。海岸の様子を詠っている。題材は順に、しじみ貝、山と舟、漁師。万葉人は、とにかく何でも歌にできる・していたのだなと思ふ。 春の三月に、難波の宮に幸す時の歌六首 住吉の粉浜のしじみ開けもみず 隠りてのみや恋わたりなむ 万997 *住吉の粉浜のシジミはぴったり閉じています。そうやって恋しい心を閉ざしているのでしょう。 右の一首は、作者いまだ詳かにあらず。 眉のごと雲居に見ゆる阿波の山 懸けて漕ぐ舟泊り知らずも 万998 *眉の形のように雲を率いる阿波の山。その山を目がけて漕ぎ進む舟。どこに停泊するのやら。 右の一首は船王が作。 茅渟 (ちぬ) みより雨ぞ降り来る四極 (しはつ) の海人 (あま) 網を干したり濡れもあへむかも 万999 *茅渟のあたりから雨が降ってきている。ここ四極の地の海人は網を干したままだ。濡れても良いのか。 右の一首は、住吉の浜に遊覧し、宮に還ります時に、道の上にして、守部王、詔に応へて作る歌。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=6