万葉集巻第十1866‐1869番歌(かはづ鳴く吉野の川の)~アルケーを知りたい(1440)

▼今回も春の花の歌四首。うち二つには音響効果がある。ひとつは雉、もうひとつはカエル。花が咲いている風景に鳴き声が聞こえると感興がいっそう刺激されることでしょう。わかる気がするわー。

雉鳴く高円の辺に桜花 散りて流らふ見む人もがも 万1866
*雉の鳴き声が聞こえる高円のあたり。桜の花が散って流れています。一緒に眺める人がいたら良いのに。

阿保山の桜の花は今日もかも 散り乱ふらむ見る人なしに 万1867
*阿保山の桜の花は今日も散り乱れているのでしょう、見る人もいないというのに。

かはづ鳴く吉野の川の滝の上の 馬酔木の花ぞはしに置くなゆめ 万1868
*カエルが鳴く吉野川の滝の上の馬酔木の花です、これは。粗末にしないでくださいね、けっして。

春雨に争ひかねて我がやどの 桜の花は咲きそめにけり 万1869
*春の雨と争っていたようだけど、私の家の桜の花が咲き始めました。

【似顔絵サロン】740年、ポスト藤原広嗣の乱の人々:鑑真 がんじん 688 - 763 奈良時代の僧人。754年、来日し、平城京に到着。広嗣の乱の後、民心安定のため仏教に力を入れていた聖武上皇が歓迎。東大寺に住み、唐招提寺を建立。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=10

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