万葉集巻第十八4111-4112番歌(橘は花にも実にも)~アルケーを知りたい(1545)

▼Wikipediaによると橘は「日本に古くから野生していた日本固有のカンキツ」。4111番では、家持が橘の由来を紹介して橘を誉めている。トーストにマーマレードをつけて食べたくなる。

 橘の歌一首 幷せて短歌
かけまくも あやに畏し
天皇の 神の大御代に
田道間守 常世に渡り
八桙持ち 参ゐ出来し時
時じくの かくの菓を
畏くも 残したまへれ
国も狭に 生ひ立ち栄え
春されば 孫枝萌いつつ
ほととぎす 鳴く五月には
初花を 枝に手折りて
娘子らに つとにも
遣りみ 白栲の
袖にも扱入れ かぐはしみ
置きて枯らしみ あゆる実は
玉に貫きつつ 手に巻きて
見れども飽かず 秋づけば
しぐれの雨降り あしひきの
山の木末は 紅に
にほひ散れども 橘の
なれるその実は ひた照りに
いや見が欲しく み雪降る
冬に至れば 霜置けども
その葉も枯れず 常盤なす
いやさかはえに しかれこそ
神の御代より よろしなへ
この橘を 時じくの
かくの菓と 名付けけらしも 万4111
*橘は春は枝がつぎつぎと生える。夏は枝一杯に花が咲く。秋は実が見事。冬でも葉はいつもどおりの緑色。だから昔から橘を「時じくのかくの木の実」と名付けたのでしょう。

 反歌一首
橘は花にも実にも見つれども いや時じくになほし見が欲し 万4112
 閏の五月の二十三日に、大伴宿禰家持作る。
*橘は花も実も見どころいっぱいなのだが、いつ見てももっともっと見たくなるもの。

【似顔絵サロン】田道間守 たじまもり/たぢまもり ? - ? 古代日本の人物。渡来人。菓子の神。柑橘の祖神。
















藤原仲麻呂の乱に関係した人々:塩焼王 しおやきおう ? - 764 奈良時代の皇族。757年の橘奈良麻呂の乱では謀議に参加していなかったので不問。764年の藤原仲麻呂の乱では仲麻呂側で殺された。
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=18

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