万葉集巻第6_1047番歌(通ひし道は馬も行かず)~アルケーを知りたい(1874)
▼遷都によって旧都になった都を詠う。フレーズの対が気持ち良い。それが三つある。「山見れば・里見れば」「思へりし・頼めりし」「春花の・群鳥の」。奈良の都への愛着が伝わる。
寧楽の故郷を悲しびて作る歌一首 幷せて短歌
やすみしし 我が大君の
高敷かす 大和の国は
すめろきの 神の御代より
敷きませる 国にしあれば
生(あ)れまさむ 御子の継ぎ継ぎ
天の下 知らしまさむと
八百万 千年を兼ねて
定めけむ 奈良の都は
かぎろひの 春にしなれば
春日山 御笠の野辺に
桜花 木の暗隠り
貌鳥は 間なくしば鳴く
露霜の 秋さり来れば
生駒山 飛火が岳に
萩の枝を しがらみ散らし
さを鹿は 妻呼び響む
山見れば 山も見が欲し
里見れば 里も住みよし
もののふの 八十伴の男の
うちはへて 思へりしくは
天地の 寄り合ひの極み
万代に 栄えゆかむと
思へりし 大宮すらを
頼めりし 奈良の都を
新代の ことにしあれば
大君の 引きのまにまに
春花の うつろひ変り
群鳥の 朝立ち行けば
さす竹の 大宮人の
踏み平し 通ひし道は
馬も行かず 人も行かねば
荒れにけるかも 万1047
*
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=6
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