万葉集巻第6_1050番歌(うべしこそ我が大君は)~アルケーを知りたい(1876)

▼旧都を惜しんでばかりではなかった。今回は久邇の新しい都の讃歌。国はしと里はし、山なみと川なみ、川近みと山近み、秋さればと春されば、など対になるフレーズが次々に出て来る。勢いがある。こんな素晴らしい所だから大君はここを大宮に定められたのだ、と鮮やかに結ぶ。Wikipediaによると田辺福麻呂は「百済帰化の日系氏族帰国者」とあり、日本人とは?とか日本精神とは?の問に対する答えを複雑にしてくれる。

 久邇の新京を讃むる歌二首 幷せて短歌
現つ神 我が大君の
天の下 八島の内に
国はしも さはにあれども
里はしも さはにあれども
山なみの よろしき国と
川なみの たち合ふ里と
山背の 鹿背山の際に
宮柱 太敷きまつり
高知らす 布当の宮は
川近み 瀬の音ぞ清き
山近み 鳥が音響む
秋されば 山もとどろに
さを鹿は 妻呼び響め
春されば 岡辺も繁に
巌には 花咲きををり
あなあはれ 布当の原
いと貴 大宮ところ
うべしこそ 我が大君は
君ながら 聞かしたまひて
さす竹の 大宮ここと
定めけらしも 万1050
*山がよろしく、川もよろしく、秋も春もよい、布当の原はたいへん貴い。だからこそ我が大君は大宮ここに定められたのだ。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=6

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