万葉集巻第九1749‐1750番歌(暇あらばなづさひ渡り)~アルケーを知りたい(1424)

▼前回と今回の歌は、高橋虫麻呂の上司の藤原宇合の仕事に随行した時の作品。同じ景色を見ながら、虫麻呂が和歌を作り、それを宇合がみて、風景と心象をあらためて味わいなおす様が浮かんでくる。

白雲の 竜田の山を 
夕暮れに 打ち越え行けば 
滝の上の 桜の花は 
咲きたるは 散り過ぎにけり 
ふふめるは 咲き継ぎぬべし 
こちごちの 花の盛りに 
見ざれども 君がみ行きは 
今にしあるべし 万1749
*竜田山を夕暮れ時に越えたところ、滝の上のほうの桜の花はもう散っていました。つぼみはこれから咲くようです。花の盛りとはいかないまでも藤原宇合様がお出かけになるのは今が良い時でしょう。

 反歌
暇あらばなづさひ渡り向つ峰の 桜の花も折らましものを 万1750
*時間があれば川を渡って向こうの峰の桜の花を折って帰りたいものです。

【似顔絵サロン】740年、藤原広嗣の乱の関係者:大野 東人 おおの の あずまびと ? - 742 奈良時代の公卿・武人。父親は大野果安。広嗣の乱では、朝廷から持節大将軍を任じられ一万七千の兵を率いて鎮圧。広嗣と綱手を斬った。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=9

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