万葉集巻第九1753‐1754番歌(今日の日にいかにか及かむ)~アルケーを知りたい(1426)

▼今回の歌の作者は高橋虫麻呂。仕事で筑波にやってきた大伴旅人が筑波山に登りたいというので一緒に山登りした経験を詠う爽快な歌。

 検税吏大伴卿が、筑波山に登る時の歌一首 幷せて短歌
衣手 常陸の国の 
二並ぶ 筑波の山を 
見まく欲り 君来ませりと 
暑けくに 汗掻き投げ 
木の根取り ふそぶき登り 
峰の上を 君に見すれば 
男神も 許したまひ 
女神も ちはひたまひて 
時となく 雲居雨降る 
筑波嶺を さやに照らして 
いふかりし 国のまほろを 
つばらかに 示したまへば 
嬉しみと 紐の緒解きて 
家のごと 解けてぞ遊ぶ 
うち靡く 春見ましゆは 
夏草の 茂くはあれど 
今日の楽しさ 万1753
*筑波山を見たいということでわが君がおいでになって暑い中、息を切らしながら山を登りました。晴天に恵まれ、眺めは素晴らしく家にいるようにくつろいで楽しめました。

 反歌
今日の日にいかにか及かむ筑波嶺に 昔の人の来けむその日も 万1754
*今日のこの日にどうして及びましょうか。昔の人が来た、というその日に比べても。

【似顔絵サロン】740年、藤原広嗣の乱の関係者:佐伯 常人 さえき の つねひと ? - ? 奈良時代の貴族。安倍虫麻呂と共に藤原広嗣の乱を鎮圧する官軍の勅使。広嗣に降伏を十回呼びかけて説得。乱鎮圧後、昇進。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=9

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