アルケーを知りたい(292) リーゼ・マイトナー/Lise Meitner_その3 マックス・プランク
今回の話題(B)フリッシュさんの叔母で物理学者のリーゼ・マイトナーさん
▼今回は、フリッシュさん(23)がウィーン大学で博士号を取得した後、1927年に仕事を得てベルリンに出たところ。ベルリンにはすでにベルリン大学で教授になっているリーゼ・マイトナーさん(49)がいる、という場面。
▼フリッシュさんの記述:(1)Lise Meitner helped me find lodgings: リーゼ・マイトナーが住まいを探すのを手伝ってくれた。
(2)she lived in a tiny flat and couldn't put me up, but often asked me to dinner. リーゼ・マイトナーは小さいフラットに住んでいて、私を泊めるのは無理だったが、しばしば夕食に招いてくれた。
〔出所〕
オットー・フリッシュ著、松田文夫訳(2003)『何と少ししか覚えていないことだろう』吉岡書店。p.36
Otto Robert Frisch (1979), What little I remember. Cambridge University Press. p.30
▼感想:リーゼ・マイトナーさんから見るとフリッシュさんは、博士号を取ったばかりの駆け出し。その甥っ子が仕事を得てベルリンに出てきたので、面倒を見て上げましょう、という叔母の顔を見せている。リーゼ・マイトナーさん自身がベルリンに出たのが29才、それからフリッシュさんがベルリンに来るまで20年が経過している。その間の粗っぽい年表が下記だ。
リーゼ・マイトナー Lise Meitner, 1878 - 1968
1907(29)ベルリンに出てM・プランク先生(49)に弟子入り。
オットー・ハーンさん(28)と共同研究を開始。E・フィッシャーさん(55)の許可を得て実験は地下の木工作業所で行う。女性は研究所には立ち入り禁止だった。
1910(32)第1回国際ラジウム学会でマリ・キュリーさん(43)と対面。
1912(34)カイザー・ヴィルヘルム研究所が開設。無給客員研究員。
1913(35)カイザー・ヴィルヘルム研究所の正規研究員。
1914(36)WWI
1915(37)オーストリア軍のX線技師兼看護婦として従事。
1916(38)カイザー・ヴィルヘルム研究所に戻り放射性物質の研究を継続。F・ハーバーさん(48)が所長。
1918(40)WWI終戦
1918(40)プロトアクチニウムを発見。
1918(40)カイザー・ヴィルヘルム研究所の核物理部を担当。
1920(42)ハーンさんとの共同研究が終了、独立で研究を開始。M・ラウエさん(41)やJ・フランクさん(38)と親交を深める。
1922(44)ベルリン大学で教授。
1927(49)★フリッシュさんがベルリンに出てくる。
★Otto Robert Frisch, 1904年10月1日 - 1979年9月22日
マックス・プランク Max Planck, 1858 - 1947 →アルケーを知りたい(200) https://gakuryokuup.blogspot.com/2021/09/200-1918.html
オットー・ハーン Otto Hahn, 1879 - 1938 →アルケーを知りたい(233) https://gakuryokuup.blogspot.com/2021/10/233-1944.html
エミール・フィッシャー Hermann Emil Fischer, 1852 - 1919 →アルケーを知りたい(174) https://gakuryokuup.blogspot.com/2021/08/174-1902.html
マリ・キュリー Maria Salomea Skłodowska-Curie, 1867 - 1934 →アルケーを知りたい(176_1) https://gakuryokuup.blogspot.com/2021/09/1761-1903.html
フリッツ・ハーバー Fritz Haber, 1868 - 1934 →アルケーを知りたい(201) https://gakuryokuup.blogspot.com/2021/09/201-1918.html
マックス・フォン・ラウエ Max von Laue, 1879 - 1960 →アルケーを知りたい(195) https://gakuryokuup.blogspot.com/2021/09/195-1914.html
ジェイムズ・フランク James Franck, 1882 - 1964 →アルケーを知りたい(210) https://gakuryokuup.blogspot.com/2021/10/210-1925.html
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