万葉集巻第十八4125-4127番歌(天の川橋渡せば)~アルケーを知りたい(1550)
▼今回は、なぜ年に一度しか二人は会えないのか、七夕伝説の不思議さを詠った長歌と短歌。長歌では、舟でも橋でもありゃいつでも会えるのに、なんでかねえ、とりあえず言い継いでいこう、と詠う。先人が謎を究明せず先送りするから今も分からないままなのだ。 七夕の歌一首 幷せて短歌 天照らす 神の御代より 安の川 中に隔てて 向ひ立ち 袖振り交し 息の緒に 嘆かす子ら 渡り守 舟も設けず 橋だにも 渡してあらば その上ゆも い行き渡らし たづさはり うながけり居て 思ほしき 言も語らひ 慰むる 心はあらむを 何しかも 秋にしあらねば 言どひの 乏しき子ら うつせみの 世の人我れも ここをしも あやにくすしみ 行きかはる 年のはごとに 天の原 振り放け見つつ 言ひ継ぎにすれ 万4125 *なぜ年に一度の七夕の夜しか二人は逢えないのか、とても不思議に思いながら天を見上げながら語り継いでいます。 反歌二首 天の川橋渡せばその上ゆも い渡らさむを秋にあらずとも 万4126 *天の川に橋をかければ、秋でなくても上を渡って行けるのに。 安の川い向ひ立ちて年の恋 日長き子らが妻どひの夜ぞ 万4127 右は、七月の七日に、天漢を仰ぎ見て、大伴宿禰家持作る。 *天の川を隔てていた二人が一年待ってやっと逢える夜が来ました。 【似顔絵サロン】藤原仲麻呂の乱に関係した人々: 藤原 真先 ふじわら の まさき ? - 764 奈良時代の公卿。藤原仲麻呂の次男。仲麻呂側だったため官軍により斬殺。 堀江越え遠き里まで送り来る君が心は忘らゆましじ 万4482 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=18