投稿

6月, 2022の投稿を表示しています

仕事の単位、ジュールJ又はワット秒W・s:アルケーを知りたい(476)

イメージ
今回の話題は(A)物理学。 ▼今回は 仕事 の単位。日常の仕事の意味で捉えようとすると頭が混乱するから、心構えが必要(笑)。 計量単位令、別表第一、第二条関係二十六で定義されている仕事 ジュール又はワット秒 : 一ニュートンの力がその力の方向に物体を一メートル動かすときの仕事 ▼中学理科: 仕事の単位はJ (ジュール)である。1〔J〕 = 1〔N〕 ✖ 1〔m〕 平尾の高校物理:仕事と力学的エネルギーの単位はともにジュール〔J〕である。1J =1N・m = 1kg・m2/s2 ▼前回やったように1Nは0.1kg重だから、 100gの物体を1m動かすと1Jに相当 する。 1kgのダンベルを水平に1m押し出すと10Jの仕事になる。戻すとさらに10J。往復で20Jの仕事。 ▼今日の人物 すでにジュールさん(425回)、ジュールさんと共同研究したケルビン卿ウィリアム・トムソンさん(456)、ワットさん(452回)、ワットさんと一緒に会社を経営したマシュー・ボールトンさん(453回)、その会社のエンジニアだったウィリアム・マードックさん(468回)にはご登場いただいている。 ▼そこで今回は、ジュールさんやヘルムホルツさんと並ぶエネルギー保存則の発見者、ドイツの物理学者をご紹介する。 ユリウス・ロベルト・フォン・マイヤー さん(Julius Robert von Mayer 1814 - 1878) 教育▽チュービンゲン大学で博士(医学) 職業▽オランダ船の船医 実績▽ 熱の仕事当量の算出方法を明らかにした  人脈▽ジュールさん(熱の仕事当量を実験から算出、公表)、ヘルムホルツさん(エネルギー保存の法則を最初に発表したのはマイヤーさんだと語った)、リービッヒさん(マイヤーさんの論文を自分の雑誌で取り上げた)、ジョン・ティンダルさん(英の物理学者。講演でマイヤーさんを紹介、英国での知名度を上げた) 〔参考〕 有山智雄et al.『中学総合的研究 理科〔四訂版〕』旺文社。 平尾淳一『総合的研究 物理』旺文社。 https://en.wikipedia.org/wiki/Julius_von_Mayer

圧力の単位、パスカルPa又はニュートン毎平方メートルN/m2:アルケーを知りたい(475)

イメージ
今回の話題は(A)物理学。 ▼今回は 圧力 の単位Pa。 圧力とは単位面積にかかる力である。 ▼日常のどういった場面で圧力の単位を使うか、探してみたところ例えば次があった。 タイヤの空気圧 (私の自転車用の空気入れに付いているメーターは単位がBARとPSI表示になっていてPaは載ってない)、 ダイバーが使う空気ボンベの残圧計 (私はダイビングはやらないので実機は知らないけど、Webで調べて限りではKPaやBAR)、 プロパンガスボンベのガス圧 (KPaが浸透)など。 ここでも単位がいろいろあって面白い。ところで気圧は昔は ミリバール と言っていた。ミリバールとヘクトパスカルを同じ値にしてくれたのは変換の手間が要らないのでありがたい。 ▼力については、次 ・質量が1kgの物体に働く重力の大きさは9.8Nである。 ・1Nは0.1kgf(kg重)である。 ▼計量単位令、別表第一、第二条関係二十二で定義されている圧力 パスカル又はニュートン毎平方メートル :一平方メートルにつき一ニュートンの圧力 ▼圧力の単位はPaである。 PaとN/m2の関係は、1Pa = 1 N/m2 である。 これは、1平米あたり0.1kgfということだから、手のひら(25平方センチとして)では感じられないくらいのものだ。 実用では、 パスカルの100倍のヘクトパスカルや1000倍のキロパスカルが用いられる。 ▼今日の人物 ニュートンさん、パスカルさん、トリチェリさんらはご登場済みなので、もっと時代を遡ってみた。宇宙はエーテルで満たされていると考えた古代ギリシャの哲学者 アリストテレス さん(Aristotle BC384 – 322) 教育▽アテナイのアカデメイア 職業▽マケドニアの王立アカデミーで指導者、アテナイでリュケイオン開設 実績▽ 万学の祖 、 フィロソフィアの始祖  人脈▽ プラトン (師匠)、アレキサンダー大王(弟子) 〔参考〕 有山智雄et al.『中学総合的研究 理科〔四訂版〕』旺文社。 平尾淳一『総合的研究 物理』旺文社。 https://en.wikipedia.org/wiki/Aristotle

力の単位、ニュートン N = kg・m/s2:アルケーを知りたい(474)

イメージ
今回の話題は(A)物理学。 ▼今回は力学の原点、力の単位について。 高校物理では 自然界の4つの力 を学ぶ。 重力 、 電磁気力 、 強い力 、 弱い力 である。馴染みがあるのは重力(源泉は質量)と電磁気力(源泉は電荷)の二つだ。 ▼力はゲージ粒子によって媒介されると考えられており、 重力のゲージ粒子は重力子 とされている。しかし、 重力子はまだ見つかっていない 。アルケーが解明されていない未踏の世界が力という日常現象の先にある・・・たまりません。 ▼計量単位令、別表第一、第二条関係二十で定義されている力 ニュートン:一キログラムの物体に働くとき、その方向に一メートル毎秒毎秒の加速度を与える力 ▼今日の人物 ニュートンさんが活躍した100年後に登場した「フランスのニュートン」。 ピエール=シモン・ラプラスさん(Pierre-Simon Laplace 1749 - 1827) 教育▽カーン大学 職業▽エコールミリテールで教員。フランス科学アカデミーの会員 実績▽天体力学。ラプラスの悪魔。長さの尺度として地球の北極点から赤道までの子午線弧長を測量し、その1000万分の1を基準とするメートル定義の基礎を作った。 人脈▽ダランベールさん(数学の指導者)、ラヴォワジエさん(共同研究者)、ナポレオン・ボナパルトさん(教え子)。 〔参考〕 有山智雄et al.『中学総合的研究 理科〔四訂版〕』旺文社。 平尾淳一『総合的研究 物理』旺文社。 https://en.wikipedia.org/wiki/Pierre-Simon_Laplace

周波数の単位、ヘルツ Hz:アルケーを知りたい(473)

イメージ
今回の話題は(A)物理学。 ▼今回は 周波数の単位 について。周波数とは何だっけ?を確認した後、単位の定義、周波数がとても低いものの例とたいへん高いものの例を見る。 ▼ 周波数とは 、電波や交流電流などが、一秒間に何回のわりあいで向きをかえるかを表した数。単位はヘルツ。(小学館の例解学習国語辞典) ▼ ヘルツ:一秒間に一回の周波数 ( 計量単位令、別表第一、第二条関係十六で定義されている周波数 ) ▼ 周波数が最高に低いもの は、3Hz–300Hz。極超長波ELF(extremely low frequency)という。 3Hzの波長は いったいどれくらいのものだろう? 前に作った周波数-波長計算プログラムで計算すると・・・いやいや光速の30万kmを3で割ればよいのだから、 約10万km 。波の山から山まで(あるいは谷から谷まで)が10万kmなんて、人の感覚からはぶち離れている。 ▼周波数の最高に高いものは、ガンマ線。周波数は 3✖10の7乗テラHz 以上。 波長は0.01nm以下 。これまた人の感覚からぶち離れている。 ▼今日の人物 単位Hzの基になったドイツの物理学者 ハインリヒ・ルドルフ・ヘルツ さん(Heinrich Rudolf Hertz 1857 - 1894) 教育▽ベルリン大学で博士 職業▽カールスルーエ工科大学などで教授 実績▽ 30歳のとき電磁波を発見 、光電効果も発見 人脈▽キルヒホフさん(指導教員)、ヘルムホルツさん(指導教員)、フィリップ・レーナルトさん(弟子)、グスタフ・ヘルツさん(甥。物理学者。1925年にノーベル物理学賞を受賞) 〔参考〕 有山智雄et al.『中学総合的研究 理科〔四訂版〕』旺文社。 平尾淳一『総合的研究 物理』旺文社。 https://en.wikipedia.org/wiki/Heinrich_Hertz

加速度の単位、メートル毎秒毎秒 m/s2:アルケーを知りたい(472)

イメージ
今回の話題は(A)物理学。 ▼今回は加速度の単位を調べる。 加速度: 時間とともに速度が変化する運動において、その変化率 時間Δtの間に速度がΔv変化するときの加速度a:  a = Δv / Δt  (平尾物理 p.24) ▼計量単位令、別表第一、第二条関係十五で定義されている加速度 メートル毎秒毎秒 : 一秒間に一メートル毎秒の加速度 ▼初速度 v0 で投げ上げられた物体の時刻 t での位置 y と速度の関係: y = v0*t - 1/2*(g*t**2) この式を使って打ち上げ花火が開く高さと時間をもとに打ち上げ初速を求めるプログラムが次。 花火が開く高さm: 500 打ち上げ後花火が開くまでの時間s: 3 花火の打ち上げ初速m/s: 181.37 ▼コード height = float(input('花火が開く高さm: ')) time = float(input('打ち上げ後花火が開くまでの時間s: ')) shosoku = round((height / time + 1/2*9.8*time), 2) print('花火の打ち上げ初速m/s:', shosoku) ▼今日の人物 Wikipediaの加速度の項で紹介されている数学者のひとり。詩人のワーズワースさんが「私の出会った最も魅力的な人物」と評したアイルランドの数学者、物理学者、 ウィリアム・ローワン・ハミルトン さん(William Rowan Hamilton 1805- 1865) 教育▽ダブリンのトリニティカレッジ 職業▽アンドリュース天文学の教授、ダンシンク天文台の所長 実績▽四元数と呼ばれる高次複素数の発見、ハミルトン力学(ニュートン力学の再定式化)、正二十面体の発明 人脈▽ジョン・ブリンクリーさん(アイルランド初の王立天文学者。ハミルトンさんの才能を認めて引き立てた指導者)、ジョン・ハーシェルさん(青写真を発明した英国の物理学者。ハミルトンさんの友人。ウィリアム・ハーシェルさんの息子)、ウィリアム・ワーズワース(詩人。ハミルトンさんの友人) 〔参考〕 有山智雄et al.『中学総合的研究 理科〔四訂版〕』旺文社。 平尾淳一『総合的研究 物理』旺文社。 https://en.wikipedia.org/wiki/William_Rowa

速さの単位、メートル毎秒 m/s:アルケーを知りたい(471)

イメージ
今回の話題は(A)物理学。 ▼今回は速さの単位から、東大の香取先生が発明した光格子時計のわくわくする話まで。 ▼速さは日常生活に密接なので、単位のなかでもとりわけ親しみやすい。 メートル毎秒:一秒間に一メートルの速さ メートル毎時:一時間に一メートルの速さ (計量単位令、別表第一、第二条関係十四)  ▼速さを組み立てている基本単位を復習しておく。  長さ(メートル)の定義 : 真空中で一秒間の二億九千九百七十九万二千四百五十八分の一の時間に光が進む行程の長さ 。光速は、299_792_458 m / s である。 時間(秒)の定義:セシウム百三十三の原子の基底状態の二つの超微細準位の間の遷移に対応する放射の周期の九十一億九千二百六十三万千七百七十倍に等しい時間 ▼時間についての最新知識。 日本標準時:国立研究開発法人 情報通信研究機構(NICT) が水素メーザ原子時計と18台のセシウム原子時計の組み合わせて 時刻を供給 している。 問題:発振周波数が15桁目で変動するため、UTC(世界標準時)の間で、 数か月につき10ナノ秒以上の時刻差 が発生する。 対応:16桁の精度をもつストロンチウム 光格子時計 を開発。 意義: 我が国がUTCやGPS等他国によって生成された時刻に依存せず、自らが持つ原子時計群で正確な時刻を刻める 。 予定:2030年に、時刻・周波数標準を扱う国際的な委員会が秒を再定義する。このとき光格子時計を提案。(以上、NICTのHPより。https://www.nict.go.jp/press/2022/06/09-1.html) ▼今日の人物 セシウム原子時計の100倍、300億年で1秒の誤差の精度をもつ光格子時計を発明した 香取秀俊 さん(かとり・ひでとし 1964年9月27日 - ) 教育▽東京大学大学院工学系研究科博士課程を中途退学、論文博士(工学) 職業▽東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻で教授 実績▽ 光格子時計の発明  人脈▽牛島 一朗(東京大学で講師、研究室の共同運営者) 〔参考〕 有山智雄et al.『中学総合的研究 理科〔四訂版〕』旺文社。 平尾淳一『総合的研究 物理』旺文社。 http://www.amo.t.u-tokyo.ac.jp/ynbw/02_theme.html

角速度、ラジアン毎秒rad / s:アルケーを知りたい(470)

イメージ
今回の話題は(A)物理学。 ▼今回は角速度を調べてみた。円周の上 をくるくる回る運動の速さだ。 角速度は原子と天体の両方で出てくる。 ▼物象の状態の量▽ 角速度  計量単位▽ ラジアン毎秒  定義▽ 一秒間に一ラジアンの角速度 (計量単位令、別表第一、第二条関係十二) 単位記号▽rad / s ▼角速度を 等速円運動を考える。物体が短い時間Δtの間に中心角Δθの割合で円周上を運動するとき、 角速度 ω = Δθ / Δt ・・・① ▼円の半径が r のとき中心角 Δθ に対する円弧の長さ rΔθ 物体が円周上を進む速さ v =  rΔθ / Δt ・・・② ①を変形して Δθ = ωΔt  これを②に代入して v = rωΔt  / Δt とすると v  = rω となる。 変形すると角速度 ω = v / r  ・・・③ ③から 等速円運動の角速度は、速さを半径で割ったもの 、といえる。 ▼今日の人物 予測をもとに金星の日面通過を初めて観測したイギリスの天文学者。 エレミア・ホロックス さん(Jeremiah Horrocks、1618 - 1641)教育▽ケンブリッジ大学エマニュエル・カレッジ(卒業せず) 職業▽昼は時計職人の父の工房で職人、夜は天体観測 実績▽ 英国の天文学の創設者の一人 。 太陽までの距離を、地球の直径の15,000倍と見積る(実際の60%)  人脈▽ウィリアム・クラブトリーさん(金星の日面通過をサルフォードで観測した友達の天文学者。ホロックスさんはランカシャーで観測)、ヨハネス・ヘヴェリウスさん(ホロックスさんの成果を紹介したポーランドの天文学者) 〔参考〕 有山智雄et al.『中学総合的研究 理科〔四訂版〕』旺文社。 平尾淳一『総合的研究 物理』旺文社。 https://en.wikipedia.org/wiki/Jeremiah_Horrocks

角度の単位ラジアン rad:アルケーを知りたい(469)

イメージ
今回の話題は(A)物理学。 ▼アルケーを知りたい(462)から(468)までの7回は、国際単位系の基本単位の定義を見てきた。その前の(385)からは中高の理科の波・力・仕事・電気をざっと見た。このとき、いろんな単位が出てくる。特に長さや質量に関しては、 単位のモトになるものが メートル原器とかキログラム原器などの存在物ではなくて、計算で導き出す やり方に代わっていた。 ▼ 中高の理科で扱う主題は この50年 それほど変わっていない。しかし、科学技術の発達をうけて 単位の定義がバージョンアップ している。 ▼そこでこれからしばらく、現代の計量単位の定義を 計量単位令をもとに 確認していく。 ▼計量の基準について、経済産業省がWebページで説明している。参考になるので引用する: 「長さ」、「質量」、「時間」など、数値でその大きさを表すことができる事象や現象がある。 計量法では、 取引又は証明、産業、学術、日常生活等の分野での計量で重要な機能を期待されているか否かという観点から対象とすべき事象等を列挙し、これを「物象の状態の量」と定義 している。  計量法においては、国際度量衡総会で決議された国際的に合意された単位系である 国際単位系 (呼称、SI又はSI単位)によるものなど確立された計量単位の存在する72の物象の状態の量を法律(法第2条第1項第1号)で、確立された計量単位のない17の物象の状態の量を政令(計量単位令第1条)で定めている。 https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/techno_infra/11_gaiyou_tani1.html ▼以上が長いイントロで、次が今回、とりあげる単位ラジアン。 ▼物象の状態の量▽角度 計量単位▽ラジアン rad 定義▽円の半径に等しい長さの弧の中心に対する角度 (計量単位令、別表第一、第二条関係八、角度、ラジアン) ▼度とラジアンの変換プログラム 1. radから度を知りたい 2. 度からradを知りたい 選択してください: 1 rad: 3 171.975 度 1. radから度を知りたい 2. 度からradを知りたい 選択してください: 2 度: 180 radian 3.14 ▼コード def print_menu():     print('1. radから度を知

国際単位系(SI)の光度の単位candela:アルケーを知りたい(468)

イメージ
今回の話題は(A)物理学。 ▼光度の単位は、カンデラ cd 。 語源はラテン語で、ろうそくのキャンドルcandleと同じ。 ▼定義の今昔。 以前:1948年まで、各国で様々な光度の単位が使用されていた。 現在:放射強度六百八十三分の一ワット毎ステラジアンで五百四十兆ヘルツの単色光を放射する光源のその放射の方向における光度(五百四十兆ヘルツの単色光と異なる光については、経済産業省令で定める。) (計量単位令、別表第一、第二条関係七、光度、カンデラ) ▼定義に出てくる用語の確認。 【 ステラジアン 】球の半径の平方に等しい面積の球面上の部分の中心に対する立体角(計量単位令、別表第一、第二条関係九、立体角、ステラジアン) 【 放射強度 】点状の放射源からある方向へ時間あたりに放射される放射エネルギーを表す物理量(Wikipedia) 【 五百四十兆ヘルツの単色光 】何色の光だろう。確かめるため、前に作った振動数と波長の計算プログラムを使う。 1. 周波数から波長を知りたい 2. 波長から周波数を知りたい 選択してください:1 周波数:540_000_000_000_000 波長:5.555555555555555e-07 m 波長が555nmと分かった。波長と光の色の関係はWebで調べるとすぐ分かる。答えは、緑色の光である。 【 683 】謎の数字だ(笑)。 ▼1cdがどれくらいの光か、というと、ろうそくの光度。定義でめちゃ難しい話をしているのに、具体例でろうそくが出てくるのが良きかな(ろうそくは蝋燭と書く。読めない・書けないのでひらがなにした)。 ついでによく出てくるルーメンやルクスなどの定義も見ておこう。細かすぎて分からなくなる(笑)けど、どこに狙いをつけて測るのかによる種類の違いだ。 【光束】 ルーメン 。一カンデラの光源から一ステラジアン内に放射される光束(計量単位令、別表第一、第二条関係五十一、光束、ルーメン) 【輝度】 カンデラ毎平方メートル 。一平方メートルの平面光源の光度がその平面と垂直な方向において一カンデラであるときのその方向における輝度(計量単位令、別表第一、第二条関係五十二、輝度、カンデラ毎平方メートル) 【照度】 ルクス 。一平方メートルの面が一ルーメンの光束で照らされるときの照度(計量単位令、別表第一、第二条関係五十三、照度、ルクス) ▼今日の

国際単位系(SI)の熱力学温度の単位kelvin:アルケーを知りたい(467)

イメージ
今回の話題は(A)物理学。 ▼熱力学温度の単位は、ケルビンK。熱力学温度とは、熱力学に基づいて定義される温度のこと。ケルビンとセルシウス温度の温度の間隔は同じ。 ▼ケルビン =セルシウス度 + 273.15 の関係を使ったプログラムが次。 温度: 28.1 28.1 ℃は、 301.25 K ▼コード Celsius = float(input("温度: ")) print(Celsius,"℃は、", Celsius+273.15, "K") ▼定義の今昔。1848年に、 ケルビン卿ウィリアム・トムソン さんが絶対零度を−273 ℃とする温度目盛りを提唱した。−273は「氷点におけるセルシウス度あたりの気体の膨張率 0.00366 の逆数から求めた」(Wikipedia)。 現在: ボルツマン定数を十の二十三乗分の一・三八〇六四九ジュール毎ケルビンとすることによって定まる温度 (ケルビンで表される温度は熱力学温度とし、セルシウス度又は度で表される温度は セルシウス温度(ケルビンで表した熱力学温度の値から二百七十三・一五を減じたもの) とする。)(計量単位令、別表第一、第二条関係五、温度、ケルビン、セルシウス度又は度) ▼ ボルツマン定数 :理想気体の状態方程式 pV = nRT は pV = Nk B T   と表すこともできる。 k B = R / N A = 1.38*10-23 J/Kをボルツマン定数という。(平尾物理 p.242) ▼今日の人物 ボルツマン定数の基になったウィーンの物理学者。 ルートヴィッヒ・ボルツマン (Ludwig Eduard Boltzmann、1844 - 1906) 教育▽ウィーン大学で博士 職業▽ウィーン大学ほかで教授 実績▽シュテファン・ボルツマンの法則、 ボルツマン定数 (ボルツマンさんの没後に命名) 人脈▽ヨーゼフ・シュテファンさん(師匠。ウィーン大学の物理学教授)、ポール・エーレンフェストさん(弟子)、 リーゼ・マイトナー さん(授業を受けてファンになった)+物理学の節目をつくる多くの物理学者のみなさん。 〔参考〕 有山智雄et al.『中学総合的研究 理科〔四訂版〕』旺文社。 平尾淳一『総合的研究 物理』旺文社。 https://en.wikiped

国際単位系(SI)の物質量の単位mol:アルケーを知りたい(466)

イメージ
  今回の話題は(A)物理学。 ▼物質量の単位は、モル mol 。分子moleculeに由来。 ▼定義の今昔。 以前:1800年代。「全ての物質は分子でできている」との考えの元に、その物質の分子量の数字にグラムをつけた質量に含まれる物質量を 1 mol と定義した。例えば酸素分子の分子量は 32.0 なので、1 mol の酸素分子は 32.0 g とした。(Wikipedia) 現在:六・〇二二一四〇七六に十の二十三乗を乗じた数の要素粒子又は要素粒子の集合体(組成が明確にされたものに限る。)で構成された系の物質量(計量単位令、別表第一、第二条関係六、物質量、モル) ▼計量単位令に書かれている 6.02 * 1023 がアボガドロ定数 というやつ。高校の化学で初めて習った。ちっとも理解できなかった。そのときの化学の先生が女性だったので、生徒はアボガドロ婆さんと呼んでいた。失礼な話だ。 ▼いまはとりあえず次のように捉えてみよう。 全ての原子は陽子と中性子と電子からできている。質量に着目する。電子はとても軽いので無視。陽子は1.673*10のマイナス27乗kgと中性子は1.675*10のマイナス27乗kgで、ほぼ同じ重さである。 究極の質量単位を得るには、質量を陽子と中性子を合計した質量数で割ればよい。 そこで、質量数12のCをとりあげ、この質量を12で割る。すると陽子と中性子の平均的な粒子の質量が得られる。得られた結果が1.66*10のマイナス27乗kgである。1.66と、陽子の1.673、中性子の1.675はとても近い。 1gの物質に粒子がどれくらい含まれるかを知るため、1 / 1.66 で計算する。結果は0.602になる。gとkgの調整をすると6.02 * 1023 個の粒子が含まれていることがわかる。 ▼今日の人物  アメデオ・アヴォガドロ さん(Lorenzo Romano Amedeo Carlo Avogadro、1776 - 1856) 教育▽? 職業▽ヴェルチェッリ王立大学やトリノ大学で教授 実績▽35歳のとき アボガドロの法則 =全ての種類の気体において、同圧力・同温度・同体積であれば、同じ数の粒子が含まれる=を発表。 人脈▽ ジョン・ドルトン さん(イギリスの物理学者。原子説を提唱)  ジョセフ・ルイ・ゲイ=リュサック さん(フランスの物理学者。気

国際単位系(SI)の電流ampere:アルケーを知りたい(465)

イメージ
今回の話題は(A)物理学。 ▼電流の単位は、アンペア A 。 ▼日常生活や中高の理科では、電気の流れる量の大小を表すのが電流、単位はアンペアAである、と知っておけば問題ない。ハサミやドライバーのように 電流(という概念)も 必要な時にすぐ使える道具になっている。ありがたい話である。 ▼定義の今昔。電流は、電磁気学の歴史と歩みが同じである。電磁気学が難しい話なので、電流の定義もハナから難しい。Wikipedia によれば「真空中に1センチメートルの間隔で同じ大きさの電流が流れているとき、両者の間に働く力が1センチメートルにつき2ダインであるときの電流」となっている。 現在: 電気素量を十の十九乗分の一・六〇二一七六六三四クーロンとすることによって定まる電流 (計量単位令、別表第一、第二条関係四、電流、アンペア) ▼現在の定義では、電気素量とクーロンがキーワードになっているので、平尾物理(pp.420-421)でこの二つを確認しておこう。 電気素量 :電子や陽子1個の持つ電気量の大きさ。値は、e = 1.60 ✖ 10のマイナス19乗C(クーロン) クーロン 〔C〕:電気量の単位である。1Cは1s間に1Aの電流によって運ばれる電気量。 ▼平尾物理(p.468)では、電流の単位を「電流の単位はアンペア〔A〕である。 これは、クーロン〔C〕と秒〔s〕から組み立てられ、〔A〕=〔C / s〕である 、と説明されている。ここは読み方がちょっと難しい。「組み立てれられ」に引っかかると、アンペアは組立単位なのか、と思ってしまう。 国際単位系SIではアンペアは基本単位でクーロンが組立単位である 。 ▼今日の人物 アンペアの由来になったフランスの物理学者。 アンドレ=マリ・アンペール さん(André-Marie Ampère、1775 - 1836) 教育▽ルソーの教育論を実行した父親の指導。14歳でディドロさんとダランベールさんの『 百科全書 』20巻を読破。18歳で当時の数学の研究成果を学び終える。 職業▽パリのエコール・ポリテクニークやコレージュ・ド・フランスで教授 実績▽52歳のとき アンペールの法則 を発表。電気、電流、電圧などの用語を創る。電流と磁束の右ねじの法則。 人脈▽ジャン=バティスト・ジョゼフ・ドランブルさん(フランスの数学者。子午線弧長の測量を行った)、ハンス・

国際単位系(SI)の秒second:アルケーを知りたい(464)

イメージ
今回の話題は(A)物理学。 ▼時間の単位は、秒 s 。second。 ▼秒をなぜsecondというのか、Wikipedia の説明が次:現代英語の「second」は、元々「第二の分」を意味する「second minute」と呼んでいたことを由来とする。分のことは「第一の分」を意味する「prime minute」と呼んでいた。1時間に対する第1の分割、第2の分割という意味である。 ▼定義の今昔 日本の時の記念日:6月10日 日本書紀によると、日本で初めて「漏刻(ろうこく)」という水時計で時を知らせたのが671年の6月10日である。最初の時の記念日は1920年である。 昔:1日の86,400分の1を「秒」と定義した。24時間✖60分✖60で86,400秒である。 現在: セシウム百三十三の原子の基底状態の二つの超微細準位の間の遷移に対応する放射の周期の九十一億九千二百六十三万千七百七十倍に等しい時間 (計量単位令、別表第一、第二条関係三、時間、秒) ▼産総研のサイトにある「世界でいちばん正確な1秒!」の説明の要点が次。 すべての原子は、固有の共鳴周波数を持つ。 原子は、固有の共鳴周波数のマイクロ波だけを吸収したり放出する。 セシウムの共鳴周波数は、9,192,631,770Hz。 この周波数のマイクロ波を浴びると、セシウム原子のエネルギー状態がわずかに高くなる(励起)。 セシウム原子が励起したなら、そのマイクロ波の周波数は9,192,631,770Hzである。 周波数が9,192,631,770Hzなら、その周期は9,192,631,770分の1秒である。 周期の9,192,631,770倍の時間が、1秒になる。 ▼今日の人物 セシウムの発見者ふたり。 グスタフ・キルヒホフ さん(Gustav Robert Kirchhoff、1824 - 1887) プロイセン(現在ロシア)生まれの物理学者。教育▽ケーニヒスベルク大学 職業▽ハイデルベルク大学やベルリン大学で教授 業績▽25歳のとき電気回路のキルヒホッフの法則を発見。 36歳のときブンゼンさんと共同でセシウムを発見  人脈▽フランツ・エルンスト・ノイマンさん(師匠、ドイツの物理学者)、 マックス・プランク さん(ベルリン大学時代の弟子。ブンゼンさんの推薦でキルヒホッフさんの後任教授) ロベルト・ヴィルヘルム・ブンゼン

国際単位系(SI)のキログラムkilogram:アルケーを知りたい(463)

イメージ
今回の話題は(A)物理学。 ▼質量の物理単位は、キログラム kg 。 ▼定義の今昔 1795年:大気圧下で氷の溶けつつある温度における水1リットルの質量 現在: プランク定数を十の三十四乗分の六・六二六〇七〇一五ジュール秒とすることによって定まる質量 (計量単位令、別表第一、第二条関係二、質量、キログラム)6.62607015 × 10−34 J s(ジュール秒) ▼水1リットルの重さ(質量)は実感できる。今の定義は昔より正確だけど、反面、実感が伝わってきにくい。この定義は何を言っているのか、確かめてみよう。 ▼6.62607015は、プランク定数 h のことである。これは1899年にドイツの物理学者マックス・プランクさんが黒体放射の研究から学会に提案した定数。 ▼プランク定数が出てきたときの話を、物理学者の オットー・フリッシュ さんが著書『何と少ししか覚えていないことだろう』で次のように描いている:ある同時代人は、 プランクは理解しがたい事実を、光波が間欠的に放出されるという、さらに理解し難い仮説で「説明」した 。 ▼フリッシュさんの本からもう少し引用しよう。  プランクは、高温に熱せられた物体がいろいろな色の光を放出する割合を計算していたのだが、光がエネルギーの塊として放出されると仮定したときだけ、計算が可能となった。プランクはその塊を 量子 と呼んだ。その量子一個のエネルギーは光の波長に依存した。理論を観測と合わせるため、新しい自然定数を仮定しなくてはならなかった。プランクはそれを h と呼び、 プランクの定数 として知られるようになった。ある色の光波について、一秒間当たりの振れの数(振動数)にhを乗じたものが各量子のエネルギーの量を与えると仮定された。 ▼プランク定数は2019年からジュール秒の単位がついて質量の定義になった。ここで 現在のkg単位の分からなさの理由 が分かる。 基本単位の説明にSI派生単位のジュールが入ったから だ。このジュール単位は、エネルギー、仕事、熱量、電力量に関わって一筋縄ではいかない存在である。理解しがたい単位をさらに理解し難い単位で説明されてる感、これあり。 ▼今日の人物 プランク定数を提出したドイツの物理学者 マックス・プランク さん(Max Karl Ernst Ludwig Planck, 1858 – 1947) 教育

国際単位系(SI)のメートルmeter:アルケーを知りたい(462)

イメージ
今回の話題は(A)物理学。 ▼長さの物理単位は、メートルm。 ▼定義の今昔 1700年代中ごろ:地球の赤道と北極点の間の海抜ゼロにおける 子午線弧長の 1/10,000,000 の長さ 現在: 現在: 真空中で一秒間の二億九千九百七十九万二千四百五十八分の一の時間に光が進む行程の長さ (計量単位令、別表第一、第二条関係一、長さ、メートル) 299,792,458 分の1秒の間に伝わる長さ ▼教科書に出てこないけど、1mの10分の一がデシメートル、1mの10倍がデカメートル。そもそも日常でデシやデカを使うことがない。昔、中学か高校のとき先生が、1デシリットルと言わずに0.1リットルとか10立方センチと言う方が良いよ、と言っていた記憶がある。 ▼光の速さからmを計算するコード 光の秒速(m) : 299792458 1.0 m ▼コード c = float(input('光の秒速(m) :')) meter = c/299_792_458 print( meter ,'m') ▼今日の人物 フランスが提唱したメートルの元になる数値を測量で導き出したフランスの天文学者。 ニコラ=ルイ・ド・ラカーユ さん(Abbé Nicolas-Louis de Lacaille、1713 - 1762) 教育▽リジュー大学(修辞学と哲学)、ナバラ大学(神学) 職業▽パリ大学マザリンで数学教授 業績▽ 26歳のとき、フランスの子午線弧長を測定、結果がフランス科学アカデミーに認められる、後、メートルの定義になる 。88の星座のうち14を命名 人脈▽ジャック・カッシーニさん(ラカーユさんの応援者。地球が南北に長い回転楕円体と考えていた天文学者)、アントワーヌ・ラヴォワジエさん(パリ大学の学生のときラカーユさんが天文学を教えた。喜望峰での天体観測にも参加)、ジャン・シルヴァン・ベイリーさん(ラカーユさんの影響を受けて天文学の道に進むもフランス革命で運命が変わった) 〔参考〕 有山智雄et al.『中学総合的研究 理科〔四訂版〕』旺文社。 平尾淳一『総合的研究 物理』旺文社。 https://en.wikipedia.org/wiki/Nicolas-Louis_de_Lacaille

たった7つの単位でこの世の量を計る国際単位系(SI):アルケーを知りたい(461)

イメージ
今回の話題は(A)物理学。 ▼中高の理科で扱う単位はすべて国際単位系( Système International d'unités )に含まれている。国際単位系には 7つの「基本単位」 とたくさんの「組立単位」がある。 ▼7つの基本単位は、長さの メートル m、質量の キログラム kg、時間の 秒 s、電流の アンペア A、熱力学温度の ケルビン K、物質量の モル mol、光度の カンデラ cdである。 ▼7つの基本単位にはそれぞれ歴史的な背景がある。中高の物理や化学は、基本単位や組立単位の意味・成り立ち・使い方を学んでいる、とも言える。 ▼国際単位系をSIと言うのは、もとがフランス語だから。子午線弧長の測定に熱意を持っていた国だけのことはある。英語は International System of Units なのでSIにならない(笑)。 ▼今日の人物 単位の統一を呼び掛けたフランスの政治家。 シャルル=モーリス・ド・ タレーラン =ペリゴール (Charles-Maurice de Talleyrand-Périgord 1754 - 1838) 教育▽ソルボンヌ大学(神学) 職業▽司祭、議員、外務大臣 実績▽ 万国共通の単位(のちのメートル法)の提案  人脈▽マリー=アントワーヌ・カレーム(シェフ、パティシェ 国王のシェフかつシェフの帝王)、ジョゼフ・フーシェ(フランス革命、第一帝政、フランス復古王政の政治家)、ナポレオン・ボナパルト 〔参考〕 有山智雄et al.『中学総合的研究 理科〔四訂版〕』旺文社。 平尾淳一『総合的研究 物理』旺文社。 https://en.wikipedia.org/wiki/Charles_Maurice_de_Talleyrand-P%C3%A9rigord

電磁波の周波数と波長を求めると新たな問題が:アルケーを知りたい(460)

イメージ
今回の話題は(A)物理学。 ▼今回の挑戦は、 電磁波の周波数と波長のどちらか一方の値が分かれば、もう片方の値が出る計算プログラム だ。 電磁波の速さは光と同じ30万km/s = 300,000,000 m だから、式は、 周波数 * 波長 = 300,000,000 m とする。これを周波数もしくは波長、分かっているほうで割れば片方が出る。理屈は簡単。 ▼FM放送の周波数の 300MHzで計算すると次のように波長が1mと分かる 。 1. 周波数から波長を知りたい 2. 波長から周波数を知りたい 選択してください: 1 周波数: 300000000 波長:1.0 m ▼このコードの利用上の注意点は、 ユーザーが周波数の単位変換を正しく行う必要がある 点。上の例では、300MHzをHzに換算した値(300*1000*1000)を入力した。0を6個追加する作業を人が行うので、ここで間違う可能性がある。 ▼黄色っぽい可視光の波長を600nmとして同じコードで周波数を求める。 1. 周波数から波長を知りたい 2. 波長から周波数を知りたい 選択してください: 2 波長: 0.00000006 周波数:5000000000000000.0 Hz ▼まず、 ユーザーが600nmをメートルに換算するのが大変 、 出た答えはゼロが多すぎ 。これは実用にならない。しかもここで出た周波数は5000THzになっていて、一桁多い。どこか間違っている。 ▼唯一の 取柄は、Webや本に載っているデータと照らし合わせると嬉しくて楽しめる 点。 ▼コード def print_menu():     print('1. 周波数から波長を知りたい')     print('2. 波長から周波数を知りたい') def wavelength_calc():     w = float(input('周波数:'))     f = 300000000/w     print('波長:{0}'.format(f), 'm') def frequency_calc():     f = float(input('波長:'))     w = 300000000/f     print('周波数:{0}'

熱の捉え方の歴史的な変遷:アルケーを知りたい(459)

イメージ
今回の話題は(A)物理学。 ▼今回は私のように熱が難しいと感じている方へ。熱をどう捉えるかについて古来からの格闘を知ると、教科書を読んでもなかなか理解できないのも無理はないと安心できます。 ▼ 古代  「熱は光や火と同じもの」「火・空気・水・土が四大元素だ(アリストテレスさん)」「火は原子だ(デモクリトスさん):火はアルケーのひとつと捉えられていた時代 ▼ 17世紀  「熱は何らかの物質である: 熱物質説 (ガリレオさんら)」「熱は運動が原因である: 熱の運動説 (ベーコンさんら)」 ▼ 18世紀  「燃焼はフロギストン(燃素)によって起こる: フロギストン説 (ゲオルク・エルンスト・シュタールさん)」「熱は「火の物質」が通常の物質にぶつかり、その結果通常の物質が動くことによって起きる:熱物質説」(ヘルマン・ブールハーフェさん)「熱物質説の立場から熱容量や潜熱の概念を生み出し「熱」と「温度」を区別(ジョセフ・ブラックさん)」 ラヴォアジェ さん それまで同一視されていた光・火・熱を分離し、光は光素、火は酸素、熱は熱素によるもの、と捉えた。「モノが燃えるのはフロギストンではなく、酸素の働きによるものである」「酸素は、酸素の基と火の物質( カロリック )から成る」 ▼19世紀 マイヤーさん、ジュールさん、ヘルムホルツさんらによる 熱力学第一法則(エネルギー保存の法則)がカロリック説を退ける 。熱が分子の運動であるとする 熱の分子運動論が熱物質説を退ける 。 ▼今回の人物 熱と温度を区別した物理学者。 ジョゼフ・ブラック  Joseph Black、1728 - 1799 スコットランドの物理学者。教育▽グラスゴー大学でリベラル・アーツ、エディンバラ大学で医学 実績▽ 22歳のとき二酸化炭素を発見、 33歳のとき潜熱や熱容量の概念を確立 人脈▽ウィリアム・カレン(大学時代の師匠。医師。冷凍技術のパイオニア)、 ジェームズ・ワット (29歳で出会い友達、相談相手)、ルナ―・ソサイエティのメンバー 〔参考〕 有山智雄et al.『中学総合的研究 理科〔四訂版〕』旺文社。 平尾淳一『総合的研究 物理』旺文社。 https://en.wikipedia.org/wiki/Joseph_Black

華氏と摂氏の比較:アルケーを知りたい(458)

イメージ
今回の話題は(A)物理学。 ▼学校で、 ジュール(英: joule、記号:J)は、エネルギー、仕事、熱量、電力量の単位 、と習う。 1 ジュールは重力加速度9.8m/s2の下で102.0 gの物体を 1 メートル持ち上げる時の仕事 である。 ▼この単位ジュールのもとになった人物は、お馴染みのイギリスの物理学者 ジェームズ・プレスコット・ジュール さん(James Prescott Joule、1818 - 1889)である。ジュールさんは、運動による水の温度上昇を測定するため水中で羽根車を回す実験を行った。この実験の精度は、すでに456回で紹介したとおり 「華氏0.005度」の単位だった。で、これは摂氏にすると何度だろうか、というのが今回のテーマ 。 ▼ 摂氏は水の凝固点から沸点を100に分割している。華氏は180に分割 している。精度でいうと華氏が摂氏の1.8倍ある。これを基にした変換プログラム。動かしたのが次。 1. 華氏→摂氏 2. 摂氏→華氏 どちらですか?: 1 華氏: 0.005 摂氏:0.003 ▼ ジュールさんは摂氏0.003度の単位で水中の羽根車の運動による水の温度変化を捉えた ことが分かる。おそらく中高の理科の実験室では再現できない精度だ。 ▼コード def print_menu():     print('1. 華氏→摂氏')     print('2. 摂氏→華氏') def f_c_convert():     f = float(input('華氏:'))     c = round(f*5/9, 3)     print('摂氏:{0}'.format(c)) def c_f_convert():     c = float(input('摂氏:'))     f = round(c*9/5, 3)     print('華氏:{0}'.format(f)) if __name__ == '__main__':     print_menu()     choice = input('どちらですか?:')     if choice == '1':         f_c_convert()  

仕事:アルケーを知りたい(457)

イメージ
今回の話題は(A)物理学。 ▼ 仕事 。分かるようでよく分からない用語のひとつ。理由は、先人が時間をかけて解明してきた広くて深い概念だから。 ▼仕事の計算式  仕事 W = 力の大きさ F ✖ 移動距離 x ▼単位は J(ジュール)  1〔J〕 = 1〔N〕 ✖ 1〔m〕 1N(ニュートン)は、0.102〔kg重〕 ▼1J は、0.102kg重m である。 100g重のモノを1m動かす力が1J である。 kg重とは質量1kgの物体に働く重力の大きさのこと。1kg重=9.8Nである。 ▼以上の話も結構、込み入っている。単位変換プログラムがあると良いかも(笑)。 ▼今日の人物:仕事という用語を最初に使った人、コリオリさん。  ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ さん(Gaspard-Gustave Coriolis、1792 - 1843) フランスの物理学者。教育▽エコール・ポリテクニークと国立土木学校。職業▽エコール・ポリテクニークと国立土木学校で教授。実績▽ コリオリの力 を提唱。運動エネルギーを求める式が 1/2*m*v2と示した 。人脈▽ クロード・ルイ・ナビエ さん(フランスの数学者、国立土木学校の教授)、 ピエール・ルイ・デュロン さん(化学者、エコール・ポリテクニークの教授) 〔参考〕 有山智雄et al.『中学総合的研究 理科〔四訂版〕』旺文社。 平尾淳一『総合的研究 物理』旺文社。 https://en.wikipedia.org/wiki/Gaspard-Gustave_de_Coriolis

単位Jの分かりにくさをどうにかしたい:アルケーを知りたい(456)

イメージ
今回の話題は(A)物理学。 ▼物理では、電力の単位はW、電力量の単位はJを使う。 電気料金では単位にKwhを使い、Jは使ってない 。ここから分かりにくさが生じる。日本の計量法は仕事・熱量・電力量の単位にJとKwh、どちらも使えると認めている。単位がごちゃついている。この対策は、使い手側(学習者)が単位変換できること。 ▼単位変換プログラムは今まで何度かやった基本の形をもとに変換する数字を入れればできる。だから今日は省略。 ▼まだ もやっとした分かりにくさ が残る。それを腑分けすると3つほど原因らしきものが出てくる。 一つ目は「 仕事・熱量・電力量」という異分野の単位に同じJを使う こと。 二つ目は、 単位同士を重ね合わせた組立単位 が持つ複雑さ。 三つ目。ニュートンさん・ワットさん・ジュールさんらによる長年の実験と理論の結晶が単位に集約されたのは良いけど 単位の意義が分かりにくくなった こと。 ▼ジュールさんが手がけた実験を見ると、電磁気、仕事、熱が一体になっていた。多要素混合型だった。ただ最初の実験は分かりやすくて、ワットさんらが普及させた蒸気機関を超える新しい動力源を求める、という狙いで、ボルタ電池を使ってモータの実験をしていた。ここでは電気と磁気がテーマ。ただボルタ電池の限界が出て、 ボルタ電池駆動のモータでは蒸気機関を超えられないことが分かる。 で、今度はボルタ電池で水中のニクロム線を加熱し、水の温度上昇を測る実験にシフトした。ここで熱量が加わる。その結果、Q=I*R2のジュールの法則を発見。 次に、熱はどこから生まれてきたのかを追求する実験に着手。水中の羽根車を回すというやつ。いまの教科書に出ている簡単なイラストからは想像できないほど緻密だった。何しろ華氏0.005度の変化が測定できたから。この精密な実験から、 仕事量がどれだけの割合で熱に変わるのかという 仕事当量を算出。 ▼今回の結論。 分かりにくいものには、それに触れる時間を増やすほうが良い 、ということ。先人の挑戦の足跡をたどると、そんな簡単じゃないことが分かる。 ▼今日の人物 ジュールさんの実験に興味を持ち共同研究したアイルランドの物理学者、ウィリアム・トムソンさん、通称ケルビン卿。 ウィリアム・トムソン   William Thomson 1824 - 1907 教育▽ケンブリッジ大学ピーターハ

家電のワット数を知る:アルケーを知りたい(455)

イメージ
今回の話題は(A)物理学。 ▼今回は、電気量節約の意識啓発プログラム(家電の電力を調べるうちに意識が芽生える、という意味で)。 以下の結果が出力されます。 うちの家電の消費電力合計: 6584 W うちの家電と消費電力のリスト: [('aircon1', 590), ('aircon2', 730), ('huton_dryer', 680), ('pot', 1250), ('toaster', 1200), ('wash_toilet', 334), ('hair_dryer', 1200), ('range', 600)] ▼コード kaden_w =  {'aircon1':590,'aircon2':730,'huton_dryer':680,'pot':1250,'toaster':1200,'wash_toilet':334,'hair_dryer':1200,'range': 600} print('うちの家電の消費電力合計:', sum(kaden_w.values()),'W') print('うちの家電と消費電力のリスト:' ) kaden = list(kaden_w.items()) print(kaden) ▼説明:これはPythonの初学者が、辞書型を使う練習を兼ねて自宅の家電と消費電力を知るエチュード。アプリ開発の前段階のお稽古です。 消費電力は家電に貼ってあったり、取説に書いている 。意外に商品電力がデカいのが、湯沸かしポット、トースター、ドライヤー、温水トイレなど。これらは電力を熱に変換する家電。これから夏だから熱に変換することはないわ、というわけにもいかない。やれそうなことは、温水トイレの温水タンクが電力を食うので、ヒータを切る。トースターでパンを焼くときは焦げすぎない(無駄だから)よう見張る。湯沸かしポットは飲む分量だけ沸かす。塵も積もれば山となる。 ▼今日の人物:ボールトン・アンド・ワット商会のボールトンさんと一緒にバーミンガ

何の役に立つのですか?とか聞く人には関心がありません:アルケーを知りたい(454)

イメージ
今回の話題は・・・閑話休題。 ▼目的なし、面白いからそれをし続ける。適塾の学び方がこの精神だった。同じ精神をオランダの レーウェンフック さんという人が表明している。 ▼「私は他の人達が思っているよりもずっと多くの時間を費やしましたが、それを楽しんでいます。なぜそんなに苦労するのですか?とか、何の役に立つのですか?とか聞く人には関心がありません。というのも、このような人々のために書いているのではなく、 ただ学問をする人に対してだけ書いているから です」(レーウェンフックさん) ▼レーウェンフックさんとはどういう人物だったのか。 ▼今日の人物: アントニ・ファン・レーウェンフック  Antonie van Leeuwenhoek、1632 - 1723 オランダの織物商。生地の品質を判定に虫眼鏡を使ううち、レンズに詳しくなり、顕微鏡を自作。さまざまなものを観察、絵にした。この情報を コンスタンティン・ホイヘンス さん(詩人・作曲家、 クリスティアーン・ホイヘンス さんの親父、 ガリレオ さんの友達)が ロバート・フック さん(イギリス王立協会の実験監督)に伝える。フックさんが仕事を認め、ラテン語訳してレーウェンフック全集として発刊、レーウェンフックさんを王立協会のメンバーに迎える。こうしてアカデミアの世界でレーウェンフックさんの仕事が位置づけられることになった。オランダの画家 フェルメール さんが描いた『天文学者』と『地理学者』のモデルがレーウェンフックさん。自作した顕微鏡の500本。微生物を観察し「微生物学の父」と呼ばれる。 〔参考〕 有山智雄et al.『中学総合的研究 理科〔四訂版〕』旺文社。 平尾淳一『総合的研究 物理』旺文社。 https://en.wikipedia.org/wiki/Antonie_van_Leeuwenhoek

技術と事業化:アルケーを知りたい(453)

イメージ
今回の話題は・・・閑話休題。 ▼技術が製品になって販売され、お金が動くと発展する。技術のまま、あるいは製品のままだとそれで終わる。だから 技術を製品にして世の中に普及させる事業化の役割はとても大事 である。技術と事業化はいわば、自転車の両輪、種子と果実、花と実のようなものだ。 ▼前回紹介した ワットさんは技術でニューコメン型蒸気機関を改良 した。それを 事業化にして世の中に広めたのがマシュー・ボールトン さん。事業化の過程では、お金・お客・ライバルが大事な要素になる。ワットさんの技術力とボールトンさんの事業力が結合した新会社、ボールトン・アンド・ワット商会が産業革命をぐいぐい推し進める役割を果たした。 ▼今日の人物: マシュー・ボールトン  Matthew Boulton、1728 - 1809 国▽イングランド。教育▽15歳で学校を終え、父親のバックル工場で金属加工の修行。業績▽47歳で、ワットさんと ボールトン・アンド・ワット商会 を設立。 ボールトン・アンド・ワット蒸気機関を何万基も工場や製粉所・製糸場に設置 。職業▽実業家。人脈▽ バーミンガム地域の変人(lunatics)の集まり「ルナー・ソサエティ」 のメンバー: エラズマス・ダーウィン (進化論のダーウィンさんの祖父)さん、 ジョン・ホワイトハースト (科学者)さん、 ジェーズ・ワット さん、 ジョサイア・ウェッジウッド (陶器メーカーの創始者)さん、 ジョセフ・プリーストリー (酸素の発見者)さん、 ジョセフ・ブラック (二酸化炭素の発見者)さん、 ベンジャミン・フランクリン さん他。 〔参考〕 有山智雄et al.『中学総合的研究 理科〔四訂版〕』旺文社。 平尾淳一『総合的研究 物理』旺文社。 https://en.wikipedia.org/wiki/Matthew_Boulton